月曜備忘録

東奔西走したり、近場をさまよったり、お家でぐったりしたり……週末の所業や所感を記録する場所(旧名:兵站の鬼を目指して……)


灯篭流しと生音

矢継ぎ早に続く出張に相も変わらず振り回されている昨今。
先の週末も三連休こそ死守したものの、週明け即夜勤で日記を書く間もありませんでした……。

そんな中でも守りきった貴重な休日ですが、土日は親の実家に向かって祖母の新盆対応です。
静岡の一帯は7月にお盆を行うため、この週末がちょうど種々の慣習のピークとなりました。
送り火・迎え火や盆飾り、灯篭流しや花火の打ち上げを行って、酒を飲んで過ごすいつもどおりの平和な週末です。

今年は新盆のため、特別に予定を調整して静岡に行きましたが、聞くところによると平年も送り火と迎え火は実施しているとのこと。
身近だと思っていた土地でも、普段目にしないタイミングで脈々と慣習が受け継がれていたことに驚きです。
迎え火については玄関先に素焼きの皿を起き、お盆中は“毎朝”火を焚いているのだとか。迎え火という語義に対して、あってないのでは思わなくもないですが……そういうものなのはそういうことなのでしょう。
一方の送り火はお盆の最終日の朝に地区でまとめて実施するのだとか何と。残念ながら朝寝している間に終わってしまったのですが、こちらも夜の灯篭流しまで祖霊はどこで何をしているのかと、不思議に思う所もありますが、致し方ないことでしょう。
いつもどおりの平和な――とは言うものの、普段は縁のなかった夏の催しの一端を掴んだようで、興味深い日ではありました。


一転して、祝日だった月曜日は分島花音さんのライブです。
以前から多々述べていますが、分島さんのライブは毎回本当に楽しいイベントです。
特に今回はストリングス隊を揃えての公演。毎回、少しずつアレンジを加えてくる分島さんですが、本領発揮といった様子で「さんすくみ」や、ストリングス・アレンジで原曲以上に聴かせてくる「君はソレイユ」など、本当に満たされる内容です。
サックスの演奏をスキャットで再現する対決など、ジャズ調の幕間でも魅せてきて、行って正解だったと掛け値無しで言えるライブでありました。

またライブ後は渋谷で飲んでいた大学の友人連中と合流して軽く1杯。
時間もなく長い時間飲めたわけではないですが……楽しいひと時を送って帰ることができました。


そんなこんなで過ごしながら、出張もこなして気付けば水曜日。
いい加減にガタがきていた携帯を機種変してみたのですが、思いの外に月額の使用料が上がってしまい、頭を抱えてしまいました。

南の島で山歩きの話

出張続きですっかり家が物置と化している昨今。
この度の週末も例に漏れず、出張から帰宅したら自宅に一泊だけ挟んでまたお出かけ。

今週は月曜日に有給を取って、土曜の夜から八丈島に行ってきました。


行き掛けに色々な事情が重なって広角レンズと偏光フィルターを買ったりしましたが、それ以外は恙無く準備完了。
小笠原や大島と同じく、八丈島も竹芝桟橋から貨客船に乗り込みます。
22時半出港の橘丸でいざ向かいましょう。
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月明かりに照らされた東京湾のコンテナ埠頭を横目に、しばらく潮風を浴びたら、羽田空港を過ぎたあたりで艦内に戻り就寝といたしました。

橘丸は八丈島に至る前に御蔵島、三宅島も経由します。
明け方から着岸と出港を繰り返して微妙に眠りを醒まされましたが、起き上がるまでには至らずうつらうつらとしてれば、船は八丈島に到着です。
天気は良好、八丈富士がお出迎えしてくれました。
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上陸後、最初に向かったのはレンタカー屋さん。八丈島ではお義理程度の路線バスしかないため、実質的な交通手段は自前で用意する必要があります。
自転車でも良かったのですが、距離を稼いで色々と回りたかったので原付を調達。ちょうど、通勤でも使っているTodayがあったので、これに決めて島内巡りに出発です。

原付確保後、最初に向かったのは八丈島歴史民俗資料館。名前の通り、八丈島の歴史と民俗資料を展示した施設です。
八丈島は東西2つの山に挟まれた比較的低い一帯に主たる集落が広がる構造。低いと言っても峠があり、南北それぞれに港とあ町並みが広がります。
資料館は南側の港から坂を上がった高台に位置し、ちょうど西側の八丈富士の山を見据えるように立っていました。
入り口から何やら趣ある建物だと思っていたら、案内の方曰く元は東京都の八丈支庁が入っていた建物だったのだとか。よく見ると、入り口ちに重要文化財の銘板も打ってあります。
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また、昭和初期に建てられた頃は島内随一の建物でもあり、サンゴの競りなどもこの建屋内で行われたのだとかなんとか。
庁舎時代の正面玄関には廃サンゴが埋められているそうで、言われてよく見るとコンクリートがところどころ明るい色しています。
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この他にも私の地元からきた流人がいる話や、目の前に聳える八丈富士の頂上が見える日は珍しいのだとか、色々と教えていただきながら、しばらく見学です。
三宅島と八丈島の間は黒潮が流れている影響で、航行が三宅島以北より大変なのだとか。また、その潮流の影響で植生や文化において、他の伊豆諸島よりも八丈島の方が南方系の影響が色濃いのだとか。
外にはこれまた南洋由来という高床式の倉庫の移築品もあります。これも以北の島々では見られないモノなのだそうですが……天気のいい日には遥か向こうに見える島々より、水平線の向こう側にある南西の島々との共通点が生じるほどの見えない障壁、潮流の威力を思い知らされます。
他にも流刑地としての歴史を踏まえ、宇喜多秀家はじめ多様な流人の来歴などなど、興味深い展示が盛りだくさんの資料館でありました。

資料館に続いては、そのすぐ近く、島の優婆夷宝明神社を参拝。「うばいほうめいじんじゃ」と読むそうですが……まぁ読めませんね。
由緒書き曰く式内社なのだとか。創建は不明ながら、それ自体はよくあること。オオクニヌシ(?)の后とその子が祀られており、伝承によってはその后と子の間にできた子(!)が八丈島の始祖なのだとかなんとか……なんか聞いたことのありそうな始祖伝承ですが、これも南方の影響なのでしょうか。
何はさておき平安時代初期には既に鎮座していたことになるのですから、日本の一部としての歴史の長さを教えられる気分です。
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本殿が珍しい石造りなことで有名なのだそうですが、拝殿の方はごく普通の木造建築。
普段は人がいないそうなのですが、夏祭りの準備中だったのか偶然にも神職さんが居合わせたので、御朱印をもらうことができました。

続いて坂を下って八重根港地区を経由し、南原の千畳敷海岸に到ります。
千畳敷と呼ばれる地は色々なところにありますが、八丈島のそれも大概の例に近くだだっ広い岩場。
向こうにお椀をひっくり返したような八丈小島が浮かび、丘側に目を向ければ八丈富士が聳える雄大な光景です。
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地形の由来自体は噴火の際に流れ出た溶岩が固まってできたものなのだとか。
もっとも島全体が火山でできたとも言えてしまうのですが……。
溶岩地形らしいダイナミックな凹凸も然ることながら、その隙間から覗く海の透明さも強烈な光景でありました。

海岸線を確認したら、次は満を持して八丈富士の山頂を目指す番です。
中腹、5合目程度の高さまでは車道が整備され、さらにぐるりと山腹を周回する道路も開通しています。
その一角に牛を放牧したふれあい牧場なる場所があり、ここが事実上最も山頂に近い補給ポイントになります。
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そんな訳で牛とふれあいつつ水分の補給やトイレを済ませたら、原付きで数分の距離の登山道入り口まで向かい、徒歩行の始まりです。

八丈富士はその名の示す通り、富士山と似た山容を誇る八丈島の最高峰。
標高は約850mですが、富士山同様に山の中央部は巨大なカルデラとなっており、その外縁部はお鉢巡りと称して一周散策することができます。
このことを想定してちゃんとトレッキング装備も完備、意気揚々と登山道に乗り込んだのですが……遠目からも容易に想像できるように、その道程はひたすら単調な上り坂。ちょっと行けばもう十分な気持ちになってきます。
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登れど登れど、代わり映えのしない道のりに目が回りだした頃合いで、ようやくのことカルデラ外縁部に到達。お鉢巡りの道との交差点で一息つく事ができました。

息を整えてお鉢巡りの道に目をやれば、それはまさにカルデラの外縁部。草しか生えぬ険しい岩場に続く一本の道を辿れば、軽い冒険気分が味わえます。
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山の内側に目をやれば、図鑑に載ってそうなカルデラ地形。真ん中には鬱蒼とした森が広がり、何やら異世界でも広がっていそうな凄みがあります。

右を見れば絶壁とカルデラ、左を見れば休憩者の向こうに町並みと海、文句のつけようのない絶景です。
さらに歩めば徐々に雲が出てきて、気付けば町並みは白く覆われ、緑と白と茶色だけが支配する幻想的な尾根道に変化。山の天気は変わりやすいといいますが、海洋島ではなおさらにそうなのでしょう。
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霧に巻かれるかと心配しながらも、どうにかそれは杞憂に済んで無事に頂上へ。
さらに少し進んだあたりで、断崖を眺めながら昼食がてらの小休止をとりました。
お鉢巡りの道は登山道よりも足場は悪く急斜面も多くて歩きにくいものの、全体的な傾斜は緩く足場や景色も変化に富んでいるため、精神的にはむしろ楽なくらい。
神秘的な雲の渦巻くカルデラを見下ろしつつ、尾根筋の岩道を満喫して一周楽しみました。

ちなみにこの断崖下のカルデラ内も散策路が設けられています。
尾根道とは打って変わった鬱蒼として歩きにくい森の中の道のりなのですが、内部に浅間神社が祀られているときいては見に行かざるを得ません。
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恐竜でも出てきそうな森に、言い知れぬ重圧を感じながらも傾斜を下って10分ほどの道のり。
密林の中に不意に現れる雰囲気満点の祠が、目指していた浅間神社でありました。
何かの風習でしょうか、丸い石に願いが描き込まれたものが多数奉納されていたのが興味深いです。
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また鎮座地の周囲をよく確認すると、背後は巨大な陥没地帯。おそらくはこの大穴に神性を見出して祀ったのかと思いますが、詳しいことはよくわからないなりに、お参りだけ済ませて撤収としました。

下山は選択肢もないので来た道を戻るように再び単調な坂道を往きます。
足にだいぶキましたが、どうにか原付きのもとにたどり着いたら、軽く汗を拭って原付ツーリングの再開です。
山腹を周回する道を抜けて八丈富士のある島の西側を一周し、北側から中央の市街地で島を横断。続いて島の東側、通称三原山を最高峰とした一帯にアプローチします。
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八重根港地区から先程は進路を西に向けた辺りで、今度は東側へ。
途中、流刑されたと伝承に遺る源為朝を祀った神社に参拝し、遥か壮大な橋を登ります。
登った先から振り返れば、雄大なる緑の急傾斜に寄り添うように、一本の白亜のスロープが引かれているのがよく見えます。
文明の偉大さと言うべきか、人類の強引さというべきか……なんとも稀有壮大な自然征服事業に感嘆の息が漏れそうでありました。
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こんな坂道を抜けて目指した先は、八丈島のもう一つの名物、温泉です。
島内には幾つかの町営温泉が設置されているのですが、その中でも見晴らしが良いとされる“やすらぎの湯”までやってきた次第です。
お風呂は露天風呂でこそ無いものの、大窓から海が一望できる絶好のロケーション。シンプルな設備ながら、タオルの販売もあるので、手ぶらでも困らない仕様です。
山登りの汗を流して、休憩室で一息つけば今日一日の目的がほとんど達成された気分になりました。

――が、ここで終わらないのが私の悪癖。
温泉へ向かう途中「黒砂入口」なる気になる看板が印象に残ってしまい、風呂上がりの宿へ向かう行程でついつい寄り道してしまいました。
最初は大した道のりでも無かろうと高を括って挑んだのですが……これが思いの外、本格的な散策路。
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やっとの思いで森を抜けて海岸に出たと思ったら、その先に待っていたのは崩落している前途です。
その気になれば行けなくもない程度ですが、傾斜の向こうは断崖を経ての海。見るからに崩れそうな砂地で無茶をするような無謀さは、流石に持ち合わせがありませんでした。
よくよく見やれば崩れ落ちたガードレールや道標の残骸が砂の傾斜に取り残されています。
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諸行無常を感じる光景にしばし呆然とした後、ここでも来た道を引き返して夕陽の見える拓けた海岸線で一息。
沈みゆく太陽を眺めながら、ひとまずは宿へ向かうことにいたしました。


この日の宿は船が到着した底土港から歩いてすぐのところ。個室もあるそうですが、ドミトリー形式の部屋を選んで宿泊です。
宿のすぐ外の木にハンモックが吊るしてあるのもイチオシのポイント。
宿の方に教わった郷土料理屋さんで、島焼酎を舐めながら島寿司や地魚料理、明日葉料理を堪能して、戻ったらビール片手に月明かりのもとでハンモックです。
ようやく“南の島でバカンス”らしいことをしながら、良い加減な時間で眠りにつきました。


月曜の朝はいつもの癖か7時過ぎに起床して行動開始。
この日も素晴らしい好天ですが、八丈富士の山頂は生憎と雲の中。どうも富士山頂が見えるのは本当に条件が良いときだけなようです。

前日は島の西半分を巡ったので、この日は東半分の観光に向かいます。
流石に東側の最高峰を目指す時間と体力はありませんでしたが、代わりに「ポットホール」と呼ばれる水流によって岩場が丸く削られた地形を見に行くことにしました。

宿のある北側の港から東側へ向かう道に原付の進路を定めれば、程なくして道は集落を離れて濃厚な緑へ向かって登り始めます。
つづら折りの坂道を20分ほど進めば、最初の眺望ポイント、登龍峠の展望台へ到着です。
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深い海の青と濃厚な緑、白い綿雲とグラデーションを描く蒼穹、まさしく南の島な光景には思わず息を飲んでしまいました。
このとき、広角レンズで覗いた世界には少々自信があります。島に来てよかったと心底思うことが出来ました。
また、しばらくすると黄色い船が港へ入ってくるのにも気付きます。日曜は私が乗っていた橘丸が、この日もほぼ定刻で底土港に入港です。
南の島の朝を告げるイベントですね。

登龍峠はその名の通り、峠です。ココを抜けると上り坂は一転して下り坂に。安全運転に注意しながらズルズルと下っていけば、しばらくして「ポットホール」を指し示す分岐の表示が目に入ります。
舗装状況の一気に悪化した林道を進んで、さらに10分弱行くと唐突に“車両進入禁止”の表示に直面! ここからは荷物を整理して、歩きの体勢で進入します。
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ほんの少しだけ歩けば文句のつけようのない行き止まりに直面しました。
あとで別のツアーの自然ガイドさんに聞いたところ、老朽化による橋の付替え工事中なのだとか。都市部では考えられないような呑気なスケジューリングですが……それもまた島時間でしょう。
どうにも処置なしかと思ったのですが、ここから沢筋を辿るように朽ちかけた散策路が残っている様子。手ぶらで帰る気は毛頭ないので行くだけ行ってみることにしました。
どこまで進んでいいのかと、おっかなびっくり森の獣道を踏み分けて行くこと5分ほど。
対岸にも道があるなと気付き始めた頃合いで、沢に落ち込むように道が消失し、対岸の道も同じように沢の前で消失している地点がありました。
十中八九、そこが渡河点であり、越えていけば工事中の橋のたもと辺りに戻るのだろうと予想がつきます。
そのまま最後まで行きたいのが本音でしたが……渡ったが最後、来た道を戻って原付を回収しないといけないので、今回は我慢です。
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おっかなびっくり進んだ道も、戻りは勝手が知れているので速いもの。サクサクと進みがてら、川の様子を観察です。
見やればなるほど、岩に刻まれた沢筋がところどころ深く抉れています。
これがポットホール、Wikipediaでは“甌穴”で項目が立っている地形なのでしょう。
川から流された砂礫と渦巻く水の作用によって、少しずつ岩が丸く削られるのだとか。場所によっては岩とともに削られてしまったまん丸の石が底部で観察されることもあるそうです。
ここのポットホールはそこまでの奇物は無いにしても、沢と緑が美しい光景でありました。

ポットホールを離れて島の一周道路に戻ったら、さらに島を周回し東端の八丈島灯台を経由して南側の海岸線に到ります。
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近場まで来たので、少し一周道路を外れて最果ての集落にも立ち寄りましたが、ここはサーフィン向けの海岸と温泉があるだけの風光明媚の地。
ぐるりと巡るほどの路地すら無いので、行って戻ってくる頃には、そろそろ帰りの飛行機の時間が気になる頃合いです。

気になるとはいいましたが、急ぐとは言いません。
原付で走りつつ、眺望が良ければ足を止めてパシャリ。これの繰り返しです。
名古の展望台と呼ばれる眺望ポイントでは、青い海に突き出た緑の岸壁の向こうに遥か薄青く島影が映ります。
方角的には青ヶ島でしょう。連絡船の欠航率が高く、恐らく日本でも屈指の到達難易度の秘境でしょう。
小笠原並の日数を織り込んで、船かヘリの空席を待たねば辿り着かぬのは、曲がりなりにも日数さえ確保すれば到達可能な小笠原より困難な気がします、いずれ行きたいです。
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また前日も訪れた稀有壮大な橋の辺りは、この日も眺望良好。昨日は夕暮れでしたが、今日は順光で目眩がするほど緑が眩しいです。
ふと、昔に従軍記で読んだ“前途に広がる南洋の島の森の深さに暗澹とする”状況というのが思い出されます。
当時は想像力が及ばなかったのですが、こういう光景を前に「両の足だけで向こう側まで行け」と命ぜられたときには、美しい緑も絶望の色を持っているのかも知れない……と。
何とはなしにカメラを構えた楽園のような光景の向こうに、不意に根拠なき怖さを感じるほど、緑の密度が持つ圧倒的な力がありました。
加えて、余談ですが写真右上の八丈小島の雲。暖かく湿った海面を吹く風が島にぶつかって上昇気流となり、雲が生じて尾を引く――と、海洋島で雲ができやすい理由を説明した図解そのままの状態となっています。
写真ではわかりにくいですが、目を凝らすと風上側の山頂付近で雲が生成されて、風下側で渦巻きながら綿雲になる様子も見て取れました。自然が一番の教材とは、よく言ったものです。
閑話休題。

市街地に戻りついたら、飛行機の時間まで植物公園で時間調整。
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小高くなった展望台から八丈小島と飛行場に目を向ければ、先程までアレほど雲に覆われていた山頂が今や丸裸です。
南洋の天気は本当に変わりやすいですね。

斯様な次第で概ね島を一周回ったら、原付を返却して、レンタカー屋さんの送迎で八丈島空港へ。
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お土産品を調達したら、定刻通り出発予定のANA便で羽田にひとっ飛びです。
往路には波に乗って11時間かけた船の旅も、帰りは風に乗って1時間ほどの空の旅に。飛行機の便利さが身にしみます。


羽田に戻ったのはまだ日の高い15時過ぎ。
折角なので帰りがけの駄賃に、以前から気になっていた羽田近辺の鎮守、穴守稲荷神社に参拝。
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下町界隈の雰囲気を味わって、南の島とのギャップにビビりながら内房へと戻ってきました。


今年も7月から夏運用。空梅雨に肩透かしを食らっていますが、楽しく暑く色々と行きたいものですね。

越後日本酒鉄道紀行

長丁場の出張でホテル暮らしが板についてきた2017年上半期終盤。
もうすぐ6月も終わりです、1年の半分が過ぎ去ろうとしていますが、冗談ではなく外泊した日の方が多くなってしまいそうです。

そんな外泊年間の一環、先週も延々と出張先で過ごしてどうにか金曜日に一時帰宅。
日曜の夜から再び出張先とあって、ねじ込んだのが土日の新潟旅行です。
土曜の朝に出立して一泊二日、そのまま都内で飲み会をはさみつつ帰宅を省いて出張先に直行する、我ながら大概にアクロバットな行程です。

そういう次第で行って来たるは新潟の企画列車「越乃shu*kura」への乗車案件。友人えめろん氏の熱望に押されるまま、初めてのジョイフルトレイン体験となってきました。


しかして、旅の始まりは北陸新幹線の上越妙高駅から。
名前に惹かれるものはありましたが、まさか降り立つ日が来ようとは思いもよりませんでした。

越乃shukuraはここからえちごトキめき鉄道を直江津へと向かい、信越本線経由で長岡にいたり上越線と飯山線を経て十日町まで向かおう旅程となります。
ただ、少しばかり早く着いてしまったので、駅前の観光から旅はスタート。
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開業して少し経つとは言え、駅前はまだまだ開発途上といった風景が広がります。

注目すべきは駅降りてロータリー挟んですぐにある釜蓋遺跡。弥生時代の比較的大きな遺跡群の一角だそうです。
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「日本一新幹線の駅に近い遺跡」のウリ文句は、なんとも言い難いセンスですが……資料館の展示は日本海沿いから到来する北陸系と関川沿いに下り来る信州系の文化の交差点としての、上越地域一帯を紹介しており興味深いものでした。
米どころ新潟というともう少し北の方、新潟市や魚沼市をイメージしますが、弥生時代には当時の土木技術的な都合からこの妙高一帯の扇状地こそが稲作の適地だったのだとかなんとか。

閑話休題、束の間の歴史のお勉強から舞い戻って、えめろん氏と合流したら「越乃shu*kura」に乗車です。
汎用性お化けのごとく全国で魔改造される国鉄急行型気動車キハ48系を素体にした特別列車。
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1号車と3号車は指定席ですが、真ん中2号車は小洒落た立ち飲み屋さんのような風情。酒類の販売もあるので、車窓を眺めながら立ち飲みが楽しめます。
何を思ったのかえめろん氏、手配した切符は食事も振る舞われる少しグレードの高い方の代物。
場違い感に恐縮しきりなまま上越妙高駅を出発した10時過ぎから、食事とお酒を振る舞われて、朝から貴族な気分です。
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出された食事もお酒ももちろん美味しかったのですが、一息ついたら立ち飲みコーナーの方へ。
ジャズの生演奏や酒蔵による試飲イベントも催され、こちらの方も軽い感じで楽しめます。

日本海や新潟の田園風景を眺めながらのひととき。
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終点の十日町駅に着いたのは12時半頃、都合2時間半の鉄道旅を終えた頃には、すっかり酔っ払ってしまったのも仕方のないことですね。
お出迎えの横断幕に少し気恥ずかしさを感じながら、下車したらほくほく線に乗り換え。
ここから信越本線、弥彦線を経由して弥彦神社に足を向けました。

彌彦神社も旅程を手配したえめろん氏の要望。
私は何年か前に参拝しているのですが、大きな神社ですし何度も行ってみるのも悪くないですよね。
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参道の復路にて昼飯がてらに立ち寄った蕎麦屋さんの庭園が、なかなか見事だったことが一番印象的な事柄でした。

この後は新潟の街に向かい、かの有名なぽんしゅ館に寄ったりしつつ一泊。
翌日は、図らずも新潟駅からSLばんえつ物語号を追いかける形で新津に向かいつつ1日が始まりました。
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新津においてはSLと最新鋭の電気機関車のご対面にも遭遇。なかなか面白い……不思議な光景です。

新津にきた目的は新潟市新津鉄道資料館を見学すること。
越後地域の鉄道の結節点であり、今も国内有数の車両工場を擁する鉄道の街、新津の往年の繁栄を伝える資料館です。
鉄道の資料館なのに駅から少し距離があるのはご愛嬌。新津駅前の資料館サテライトにて自転車を借りることができるので安心です。
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展示内容は上越線、信越線、磐越線を中心とした新津・新潟にまつわるものが主。
またかつて所在した国鉄の職員養成校で用いられた教材や、機関車の水位計などのようななぜ単体で置いてしまったのか解しかねるようなピンポイントの鉄道部品も見受けられました。
また、屋外には新潟に関わった鉄道車両の静態展示もあります。
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この日は偶然にも新潟色の115系の搬入を行っていたようで、クレーンで宙を舞う鉄道車両を拝むことができました。
こういうのを見るのもまた運がいいと言えるのでしょうか。作業だけでも意外と見飽きないものです。

資料館のあとは新潟駅に舞い戻り、昼食を取りつつ駅から歩いて10分程の蒲原神社へ御朱印を頂戴に。
下調べをしていなかったので、現地の由緒書きで知ったのですが式内社“青海社”の流れを汲む由緒ある神社なのだとかなんとか。
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別段に大きな神社ではないのですが、お祭りの規模は新潟県内でも有数のものなのだそうです。
参道を跨ぐように渡り廊下が配置された独特な形態の神楽殿が印象的です。
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何か謂れがあるのかと気になるところですが、この様式の由緒能書きは特に見当たりませんでした。


そんなこんなで御朱印も確保したら、あとは関東に帰るのみ。
引退が噂される二階建て新幹線E4系を選んで乗車し、初上越新幹線で都内へ舞い戻りました。

――で、終わらないのが根無し草の性。
えめろん氏と別れた後、田村ゆかりさんのFCイベント関連で上京していたアリソン氏と合流。
関係するフォロワーのアッシーさん、ヘク猫、さらには元寮生も合流して飲み会の運びとなりました。

当夜中には出張先に出向かなければならない都合上、遅くまでいることは出来ませんでしたが、ギリギリいっぱいまで飲みながら粘って楽しいひと時を過ごし……多少の二日酔いは気合で乗り切る羽目となった月曜日でありました。


そんな次第でまだまだ続く出張生活。終わりは見えないので、仮宿と旅先の往復が続くかもしれません。
自宅なんていらなかったのでは……?

立山連峰横断の話

資格試験に追い立てられて、思うところが多々ある今日この頃。
その向こうには出張案件の影もちらつき、遠出もままならぬ日々が続く予感が重なります。
色々と投げ出したい衝動に駆られた果て、思いつくがままに宿を予約し高いところへ挑んでしまいました。


土曜日、朝は5時に起きて電車に乗り込み千葉駅から特急へと乗り換えます。
6:38発のあずさ3号、またの名を千葉あずさ。首都圏の東縁千葉駅から新宿を経由して長野の北辺、南小谷駅まで走り抜ける狂気じみた長距離特急です。
以前から乗ってみたかったのですが、この機に使わない手はないことでしょう。
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今回は経路の都合上、途中の信濃大町駅で下車しなくてはならなかったのですが、それでも随分と楽ちんでした。
いずれ、南小谷駅までも行きたいですね。

信濃大町駅からは路線バスに乗り込み、立山黒部アルペンルートの長野側の玄関口、扇沢駅へ向かいます。
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既に小雨がちらつく不穏な天気のなかですが、ここから関電トンネルトロリーバスに乗り込み黒部ダムを目指します。

車内で流れるトンネル打通の歴史案内に耳を傾けながらバスに揺られていれば、噂の黒部ダムには比較的すぐ到着。
途中、赤沢岳の下辺りで富山県に入ってしまいます。
アルペンルートというと富山長野をつなぐ山岳路線といったイメージですが、長野県部分はほんの一瞬しか無いも同然なのですね。
それはそれとして黒部ダムは何度見ても圧倒的な大きさです。
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もっとも、降ったり止んだりの天気に、オフシーズンで観光放水も無し。偉大なるダムの大きさに感銘を受けつつも、雨の合間を縫ってダムを渡り次の乗り物へ急ぎます。

次は黒部湖から黒部平まで、ケーブルカーであっと言う間です。
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黒部湖と長野県境の赤沢岳を望む小さな平地。雲に覆われた山並が雄大です。
展望台から逆側、アルペンルートの進行方向を見やれば、立山連峰の岩肌に張り付くような大観峰駅も望めます。
一体全体、誰が何を思ってこんなところに駅を拵えてしまったのでしょうか……狂気を感じる険しい立地です。
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この頃から風も強くなり、ロープウェイ内では散々に煽られ揺れる有様。
ふらふらしながら大観峰駅に至る頃には、雲も私を出迎えに降りてきて、外は真っ白な霧の世界に陥っていました。
斯様な状況で狭い駅構内に長居も無用と、次いで乗ったは立山トンネルトロリーバス。
連峰主峰、雄山の直下をくぐり抜けて、アルペンルートの最高点、標高2400mの室堂に到着です。
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室堂の駅はアルペンルートのハイライトであり、雄山登山の玄関口でもあって充実の設備です。
建屋内で一式揃い、直結のホテルもある大規模なもの。最上階には、かつて雄山山頂にあった江戸時代の雄山神社峰本社の社殿も展示してあります。

しかして、この日の私の宿も、この室堂駅から歩いて10分ほどのところにあるのですが……。
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びっくりするほどの視界不良と土砂降り、さらに足元は一面の銀世界。6月でも冬のようとは聞いていましたが、よもやこれ程までとは思いもよらぬ有様です。
しばらくは駅の建屋内で様子をうかがっていたのですが、最終的には意を決して宿へ向かい踏み出すしかありませんでした。
雪原に目印のごとく連なるポールを頼りに、横殴りの大粒の雨に耐えながら歩くこと10分ほど。
この旅のハイライトと言っても過言ではないほどの鮮烈な経験です。
道はあっているのだろうか、距離は後どれ程なのだろうか……いろんな不安が去来しながら歩み、宿の影が見えたときには心から安堵しました。
本当に、この時ばかりは冬山の恐ろしさの片鱗を味わった気分です。

そんな訳でいまだかつて無い苦労をして辿り着いたのは「日本一高所にある温泉」みくりが池温泉です。
室堂平、みくりが池の傍に佇む山小屋兼温泉宿といった風情のお宿です。
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名前の通り、温泉です。散々寒い目にあいましたが、温泉に浸って一息ついたらビールを飲んで、もう幸せのできあがりです。
場所柄、素泊まりの選択肢はなく1泊2食付ですが、夕飯も朝食も非常に美味で文句のつけようがありませんでした。

晩御飯後は宿泊客は早々に就寝の体制です。
登山といえば明け方からの活動が多いからでしょうか、21時を過ぎればすっかり静かになってしまいます。
かくいう私も早めに寝たのですが……ふとトイレに見を醒まして窓を見やれば、月が明るいです。
すわ、これは満点の星空かと外に飛び出せば、煌々と輝く満月が東南の空に登っているではないですか。
その明るさときたら、私の影が地面に映し出されるほど。天体観測には支障をきたすレベルですが、これはこれでまた風情があります。
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西側には遠くどこかの町の夜景が望見されます。確信はもてませんが、方角的には富山か高岡でしょうか。
眠気と寒さをこらえながらも、しばし夜の散策と撮影に勤しんでから、再び布団に帰りました。


翌朝は室堂平に日が昇る明け方5時過ぎに起床です。
東側に立山を控えるココでは、地平線上の日の出から実際の日の出まで1時間ほどの時差があります。
ただし、空が黄昏色に染まるのは地平線における日の出の時間帯のこと。単純な話ですがすっかり失念していたため、起きて外を見たら青空が広がっていたときは、何が起こったかと一瞬悩んでしまいました。

閑話休題、朝食を取ったら2日目の行程にいざ出発です。
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あわよくば雄山の山頂も狙えるかと思っていましたが、外に出て少し散策すれば、それがいかに無謀であるかが理解できます。
澄んだ空気のせいか、ちょっと行けばたどり着いてしまいそうなほどにはっきりと見えるその頂も、道程は一面真っ白な雪化粧です。
服装だけならいざしらず、足元の装備が心許ない状況でこれに挑むのは身の程知らずにも程があるというものでしょう。
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しばらく室堂平の雪原散策を楽しんだら、ふと大観峰駅まで引き返して赤沢岳の山並みを拝むアイデアが降って湧いてきました。
思いついたら、居ても立ってもいられないのが性分。室堂駅から往復のきっぷを追加購入して、今一度の大観峰駅です。
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目論見通り、そこには澄んだ空気でくっきりと姿を表す青々とした奥立山連峰の山並みがありました。
土曜日はそれどころではなかった立山側の急傾斜も落ち着いて眺めることができます。
改めて見ても、ここに駅を作ったのは狂気と言わざるをえないでしょう……。

大観峰から再び室堂駅に戻ったら、続いて“雪の大谷”も見物です。
毎年、4月の半ば頃に立山の風物詩として報じられる、あの雪の谷間をバスが走り抜ける道。写真や映像ではしばしば目にしますが、本場では6月でもお目にかかれるとは知りませんでした。
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特に今年は雪が多いとかで、例年よりも高い壁が拝めます。加えて前日の雨で綺麗になった雪面と、雪の白がよく映える青空、6月には望むべくもない好条件が揃ったとかで、なんと運がよいことかと日頃の行いを自画自賛したくなります。

しばらく雪の大谷を散策して飽いたら、いよいよもって室堂を後にして下りの行程へうつります。
ギリギリまで最高点に居たい思いもありますが、寄り道もきっと楽しいはずと、悩んだ末にだいぶ後ろ髪を引かれながら、富山方面へ向かう路線バスに乗り込みました。

乗り込んだと言っても終点まで直行せず、途中の弥陀ヶ原でバスを降りて散策へ。
初夏になれば湿原が広がり、素晴らしい眺望が――とパンフレットには書いてあったのですが、どうやら初夏というには早かった模様。バスを降りても湿原ではなく雪原が広がる様には、早まったことをしたかと焦りの念が生じます。
しかしながら、湿原はなくとももう一つの目的地へは行くことができる様子です。
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立山は室堂平から南西側に、大地が大きくえぐれた立山カルデラと呼ばれる一帯があります。
これを一望できる展望台があるとのことで、是非とも見たいと散策に挑む次第です。
昨日に続いての、ポールだけが頼りの雪中行軍。雪山を舐めているとの誹りは免れない気もしますが、大学時代だったらもっと気楽なスニーカーで突っ込んでいたレベルの道程でしょう。
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15分ほど登れば道が途切れて、急な斜面に行き当たります。
この巨大な谷間こそが立山カルデラ。日本海屈指の暴れ川、常願寺川の源流にして終わりなき砂防工事が続く大崩落の現場です。
少し目線を上げれば白山まで望見できる好条件のもと、雪渓と青山と青空が織りなす雄大な景色に息を呑むばかりで、先程の焦りも何処かへと飛んでいってしまいました。

立山カルデラを眺めながら一息入れたら、続行のバスで終点美女平まで下ります。
途中、日本一の落差を誇る大瀑布、称名滝の前でバスが徐行してくれるイベントなどを挟みつつも、終点へ。
美女平まで下れば雪はすっかり姿を消してしまいました。
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美女平からはケーブルカーに乗り換えればアルペンルートの終点、立山駅に至るのですが……ここまで来て寄り道しない手は一切ないでしょう。
一山登り終えて帰路を急ぐ人波から外れ、探勝歩道へと足を踏み入れます。
高所の雪山とは一点、そこは初夏の高原の森林です。こちらの方が今の季節らしい風景でしょうか。人も少なく実に快適です。
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この一帯は立山杉の産地だとかで、巨大な杉の木が方々に聳え立っています。
豪雪地帯なせいか、奇妙な曲がり方をした木も散見され、不思議な森に迷い込んだかのような感覚に陥りながらも、思いがけず緑を満喫する機会となりました。

駅に戻ったら、いよいよもって観念して最後の乗り物、ケーブルカーで麓の立山駅にいたり、アルペンルートの行程は完遂と相成りました。
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山小屋風の駅では冬山装備のレンタルも行っているようで……こちらに先に来ていれば、あるいは雄山に挑めたのかもしれませんが、過ぎてしまっては詮無きことです。

ここからは富山地方鉄道に乗りかえて、順次富山駅へ向かいます。
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もちろん、直行とは言わず途中の岩峅寺駅で途中下車。この駅も含め、富山地方鉄道は驚くほどに風情ある田舎のローカル線です。
なかでもこの岩峅寺駅は立派な外観ながらも歴史を感じる趣に、映画“点の記”でもロケ地にされたのだとかなんとか。
静かに放っとくのが勿体無いほど、田舎の良い部分を絵にしたような光景の駅です。

しかし、駅が格好いいだけで下車するほど、時間に余裕がある訳ではないので、この駅で下車したのもちゃんと理由があります。
駅から歩いて10分ほど、駅のある岩峅集落の外れに鎮座する雄山神社の前立社壇に参拝です。
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雄山神社は立山の主峰雄山の山頂を峰本社とする越中国一宮、その里宮にあたる社がこの前立社壇になります。
本来であれば峰本社も参拝したかったのですが、先の雪山状況に加えて、そもそもが夏季7~9月しか参拝受付していないのだとか。どちらにしても訪れようがなかったそうですから、里宮だけの参拝になってしまったのは仕方ないことでしょう。

次は山頂への参拝を祈願したら、駅へ戻り、今度こそ富山駅へと向かいました。

締めに富山駅ビル内の居酒屋さんで地酒を飲みつつ指定券を取った北陸新幹線を待って、帰路へ。
1泊2日の行程にしては、思った以上に要素を詰め込んだ充実した旅は3度目の北陸新幹線で締めて終りとなりました。


斯様な次第で非常に楽しんだのは良いのですが、山歩きは全身運動……せっかく復調してきたのに、また全身筋肉痛です。
運動不足がたたっているのでしょうか、世話ない話です。

ひとり遠足と生音

梅雨も間近に迫り、晴れ間の貴重さに若干の焦りを感じる6月頭。
もうすぐ1年も半分を過ぎようとしています、信じがたい速さです……って毎年言っていますね。
幸いにまだ“気付いたら年末”と言うほどには時計の針は加速していないのが救いでしょうか。


幸いにも好天に恵まれた先の週末。
予定らしい予定もなく開放感を味わえるかと思いきや、土壇場で土曜も日曜も夕方から譲れない予定が入ってしまい、思うがままに出掛ける訳にはいかない仕様です。
予定自体は詮無きことですが、日中くらいは外をフラフラと回りたいところです。

そんな訳で土曜日は起き抜けから内房線の下り方面に乗り込み、房総沿岸をガタガタと進みます。
館山から千倉を抜けて安房鴨川の少し手前、太海駅にて下車します。
房総の田舎町を感じさせる独特の青みがかった駅に降り立ち、青空のもと漁港の方へ歩めばすぐに波太の漁港です。
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つげ義春の「ねじ式」のモデルになったと言われる漁港を横目に、海沿いの道を進めば、この日の主たる目的地はすぐそこです。

向かったのは手漕ぎ渡船で渡れる房総半島最大の自然島、仁右衛門島。島名の由来は、島の所有者にして唯一の住民の名前をとったものだとか。
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天気が良いから島に行きたい、そこに理由はいらないと思います。
漁港側の突堤でしばらく船を待って、折よく現れた渡船に乗り込み向こう側に渡りました。

入島料兼渡船代は島側の売店にて支払い。知ってはいましたが、なかなかいい値段がします。
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売店と休憩所の建物は、島唯一のコンクリート建築でしょうか。奥ゆかしく表現すれば、年季の入った趣深い味わいを醸し出していました。
しかしながらも、晴天下の外房の漁港と小島です。景色の悪くない理由はないでしょう。
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本土側を向いた展望台からは、透き通る海水を湛えた小さな漁港と、それに寄り添う家並みが一望できます。
水深が浅いのか、人の手の多いに入った港にありながら、その水底が透けて見えることには驚くばかりです。
他にも島唯一のそれと思われる古民家も公開中。一体全体どういう立場の人間だったのかと不思議に思うほど立派な家が、城壁じみた塀に囲まれた中に建てられていました。

島の裏手、海を望む側には祠も祀らています。源頼朝が潜伏したという岩屋は眉唾にしても、おそらくは古くから祀られてきたものがあることでしょう。
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すぐ外の磯は奇岩が連なる景勝地。あまりの透明感にテンションが上がり、うっかり靴を海没させたのはご愛嬌です。

斯様な次第で復路の渡船で漁港側に戻り、駅へ向かいつつ漁港散策も。
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初夏の浜と町並みも絵になりますよね、多分。

島のあとは安房鴨川駅まで移動して、鴨川シーワールドへ行きました。
実は鴨川シーワールドに行くのは初めてのこと。比較的近場にありながら、なんだかんだと機会が巡ってこなかったので、行くのが後回しになっていた状況です。
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水族館自体も1年ぶりくらいかもしれません……久しぶりですが、やっぱり面白いですね。
鴨シーの目玉といえばシャチやイルカのショーだったのですが、この日は残念なことに既に全演目終了のこと。、
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それでも、ショーの後の寛いだイルカや、常設の水槽見学だけでも十分に楽しむことができました。

閉館時間まで鴨シーで粘ったら、この日の締めは関東に遊びに来ている友人のえめろん氏と合流すること。
外房線経由で千葉駅まで向かい、恙無くランデブーを果たしたら、千葉駅近くの繁華街で軽く飲んで私の家で一泊と相成りました。


鴨川観光に費やした土曜日に引き続き、日曜日も良好な天気に祝福されたお出かけ日和。
えめろん氏はこの日、幕張で開催されたレッドブル・エアレース見物に行くとやらで、朝から早めに起きて出立です。

釣られる形で飲み会あけにしては比較的早くに家を出たこの日は、夕方から都内で用事があるので必然的に目的地も都内方面となります。
どこに行こうかと思案しながら東京駅に着いたら、上野動物園に行く案が降って湧いたので決まりです。
幾度か門前までは行っておきながら、毎回別の用件に引きずられて入園を延期していた因縁の動物園、ついにようやくフレンズになれますね……。
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ひとまずミーハーなので、パンダを見てから楽しみ方を考えましょう。
かの名高きパンダさん、近くで見るためには並ばなければならないのですが、離れて望遠するだけならほとんどノータイムで観覧可能です。

目的を達して満足したら、園内をフラフラしつつ足元で蠢く物体が目に留まります。
よくよく見やれば随分と大きなクモを引き摺る狩りバチさんがいらっしゃるじゃないですか。
聞くところによると、狩りバチは麻酔で昏睡させたクモを巣穴に運び込み、幼虫の生き餌にするのだとか。ファーブル昆虫記に記されているそうですが、実際にその現場に立ち会うのは初めてのことです。
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しばらく観察しているとなるほど然り。時折、餌から離れて周囲を哨戒しつつ道の脇の小さな穴へと進んでいきます。
最後にはズルリとクモを巣穴に引き摺り込んでお仕事終了。恐らくは、卵を産み付けて巣穴にフタをするのでしょうが、そこまで見届ける程の暇はなかったのが残念なところです。

その他に特筆すべき印象に残った動物といえば、檻の中でサービス精神旺盛のシロテテナガザルでしょうか。
ガラス越しにヒトを睥睨し、数多のカメラの注目を浴びる様はカリスマを感じるレベルです。
定期的に見栄えのするポーズをするあたり、言い知れぬ賢さも感じてしまいます。
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コアリクイもまたその悪魔的可愛らしさは素晴らしいの一言。凶悪な爪を隠し持っているのもご愛嬌でしょう。
ぬいぐるみにしたくなるような、いい感じに丸みを帯びたフォルムで木に登るさまは見飽きることのない光景でした。

動かないことで一部で有名だったはずのハシビロコウさんはすっかり野生を失って落ち着き無く動いてくれます。
羽を広げて白目を剥いたときなどは、言葉にならないインパクトがありました。全体的に言えば「聞いていた話と違う!」という感想が一番しっくり来るでしょう。
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アルマジロの疾走もなかなかコミカルで良かったです。


この日もなんやかやと動物園で遊んでいるうちに、気付けば時間は閉館1時間前。ギリギリまで留まりたいところではあったのですが、この日の本題はこの後です。
品川ステラボールに移動して、中島愛さんの復帰ライブに参加しなくてはなりません。
大急ぎで開場へと向かい、素知らぬ顔で入場して4,5年ぶりのまめぐライブの始まりを待ち受けました。
セトリは毎度のごとく省きますが、3年ぶりの復帰ライブだけあり、曲目自体は聞いたことがある“懐かしい”曲ばかり。
過去3枚分のアルバムを概ね年代順に並べたような内容で、待ち望んでいたライブがそこにはあったような気がしました。
「天使になりたい」やラグリン関係の楽曲、アンコールでは「金色」も流れて、思い残すことはもうない……と思わせておいてのさらにダブルアンコールにおける「ノスタルジア」。
一番好きな曲を最後の最後で歌われて、息が止まるかと思うほどの感激でした。
MCではまたアルバムを出して、ツアーもしたいとの言葉もあり、その時を心待ちにして生きていけるような気がするライブでありました。


そんなこんなで、充実した遠足から、懐かしくなるようなライブを経て過ぎ去ったこの週末。
一息ついたところで、今度は資格の実技試験が待っているので、強く生きなければなりません……。

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