大和八景と豪雨の家族旅行
お盆も過ぎ、蜻蛉が湧き出で夕刻には虫の鳴く、すっかり秋めいて来た8月下旬。
まさに晩夏の風情です。激しい雷雨もこの季節の風物詩ですが、ちょっと威力がありすぎるのが、この週末でした。
そんな訳で、ニュース沙汰になる程の豪雨とともにあったこの週末。
ほぼ一年ぶりに両親が奈良観光に来たので、当然のごとく私も合流してお出かけと相成りました。
京都駅からレンタカーを借りて、私の寮に両親が現れたのが土曜の昼下がりのこと。
何はさておき、この日まず向かったのはかの有名な法隆寺。
世界最古の木造建築にして「日本最初の世界文化遺産」たる有名ドコロです。

中学の修学旅行で行って以来でしたが、記憶にあった以上に綺麗で洗練された境内です。
天気も相まって実に美しいものでした。
もっとも堂内の仏像が如何なる素晴らしさなのか、薄学にして言葉にするのは難しかったです……。

また近傍に合った斑鳩神社にも立ち寄ったのですが、残念ながらこちらは工事中で参拝することが出来ませんでした。
この日は法隆寺参拝を終えた日暮れ頃から、雲域が怪しくなり一気に大粒の雨が叩きつける豪雨に。
強い雨に打たれながらどうにか車を転がし、這々の体で奈良市街へ戻りホテルに泊まることとなりました。
翌日曜日も午前は天候に恵まれてたので、予定通りにレンタカーで再び奈良盆地の南部へ。
最初に向かったのは盆地から東へ、三重県境近くの室生寺へ参拝しました。

山門から立派ですが、こちらの見所は五重塔と山中の奥の院です。
余談ながら、つい先日まで研究室に所属していたフランスからの留学生がいたく気に入っていたお寺でもあります。
エキゾチックな山中の静謐な寺院、実に絵になります。

訪れたのが朝早めだったせいか、なお静謐に重ねて人も少なく落ち着いた雰囲気の有り様。
女人高野というだけあり、女性の僧も多くいる印象をうけました。
室生寺に続いて訪れたのは、観音信仰の元祖、長谷寺です。
こちらも名前は有名ですが訪れたのは初めてのお寺。長い登廊が有名だとか。

然り、見果てるような長い木造の回廊は息を呑むような迫力がありました。
こちらは室生寺とは打って変わって、人も多く賑わっている印象でしたが、それでも十二分に風情です。

この辺りは紅葉が見所なのだとか。
奈良は全体的に夏場が見所が少なく、修学旅行生もいなくなるためにオフシーズンになる感覚です。
夏休みなのにオフシーズン、不思議なようですが、ある意味奈良らしいです。
長谷寺の後は近傍の與喜天満神社にも立ち寄ったのですが、生憎と誰も管理者が居ない様子だったので参拝だけして撤収。
ついで少し北側の山中に入った笠山荒神社へと向かいました。

荒神様といえば、一般には竈の神様。台所に祀られていたりといったイメージは有りますが、単体の神社としてある記憶はありません。
そんな荒神様ですが、この笠山には列記とした大きな神社として存立しています。
由来等は今ひとつ承知していませんが、どうやら神仏混交による信仰が原点となった社なのだとか。
方々に案内板があったりと相応に規模と格を誇る様ではあります。
また、余談ながらこの神社の向かいにある蕎麦店が非常に有名らしく、昼食がわりに立ち寄ってみたところ予想以上に混んでいて驚かされました。
わざわざ細い道を辿って訪れるだけのことはある非常に美味でリーズナブルな蕎麦にありつくことが出来、旅の邂逅の醍醐味を味わったような気がしました。
そんなこんなで笠山荒神社を後にした頃から、この日も雲行きが怪しくなってきました。
一応は予定を曲げずに談山神社に向ったのですが、着いた頃には土砂降りで身動きも取れない有り様です。

雨の小康状態を突いて参拝してみたものの、近くの側溝は既に溢れかえっている程の集中豪雨です。
身動きもままならぬ中で、どうにか有名な仏塔(!)や本殿などひと通りの見るべきものは見て回ります。

特に本殿横の広間となっている建物は、畳敷きの中に興味深い由緒書の巻物や祭具が展示されており、さらには窮屈な撮影禁止の表示もない鷹揚さです。
ちなみに談山神社は本来的には寺院色の強かったところ。中臣鎌足を祀る社だったのですが、仏塔やら仏像やらと今でも廃仏毀釈以前の面影を色濃く残しており、お寺に居るのか神社にいるのか迷ってしまうような雰囲気がありました。
雨に打たれて少々疲れ気味だった身には、最高にホッと一息つけるシチュエーションです。

思わず雨が止むまで、ここでのんびりしていようかと考えてしまう程でしたが……流石にそれは都合が許さないので、よしなにくつろいで撤収としました。
ところで全くの余談ですが、この日は「えんむすび云々」と平たく言えば婚活的なイベントを境内でやっていた模様。
儀式殿と呼ばれる神楽殿のような建物で、山手線ゲームをしている男女の姿は、なんとも奇妙な印象を受けてしまいました。
次は天気のいい時に行きたいですね……。
談山神社の後は流石に雨もひどいとあって、この日も宿泊予定の奈良市街のホテルへ向けて撤退することに。
帰りの道すがら、目の前を通りがかったので、つい大和神社なる神社に寄ってはみたのですが、折からの雨で既に社務所も締まり誰もいない状況です。
雨も未だに強い状況だったので、ふらりと境内を回り興味深い石碑を写真に収めたら、続きは次来るときにとっておくことにして先を急ぐこととしました。

斯様な次第で早期撤退を強いる強い雨でしたが、幸いにも日没頃には止んでくれたので、この日の夜は元興寺の万燈会を見物することに。

元興寺は奈良市街、近鉄奈良から少し南に外れた古い町並みの残る奈良町地区にあるお寺です。
正確にはかつて隆盛を誇った元興寺の跡地が奈良町となり、その残滓の一つが現在の元興寺となります。
何はさておき、供養のため石塔や地蔵の周囲に燈火を灯し、和楽の演奏や著名人の描いた灯籠を展示する法会です。
全く知らなかったのですが、たまたまポスターを見掛けて気になり訪れた次第です。
雨もあったので開催されること自体を危ぶんだのですが、杞憂に終わり晩夏の夕暮れを美しく灯す風情ある空間を拝むことが出来ました。
そんなこんなで土日と奈良を満喫してもう一泊。
月曜日は朝食を採ってから、レンタカーで学校の寮へ送ってもらい両親と別れて……学校です。
学会も近ければ、留学生が帰国するのでその準備もあるし……とやること山積みですからね……致し方なしです。
ちなみに両親はその後、奈良から京都へかけて適当に観光したのち、帰路へついたとのこと。
まさに晩夏の風情です。激しい雷雨もこの季節の風物詩ですが、ちょっと威力がありすぎるのが、この週末でした。
そんな訳で、ニュース沙汰になる程の豪雨とともにあったこの週末。
ほぼ一年ぶりに両親が奈良観光に来たので、当然のごとく私も合流してお出かけと相成りました。
京都駅からレンタカーを借りて、私の寮に両親が現れたのが土曜の昼下がりのこと。
何はさておき、この日まず向かったのはかの有名な法隆寺。
世界最古の木造建築にして「日本最初の世界文化遺産」たる有名ドコロです。


中学の修学旅行で行って以来でしたが、記憶にあった以上に綺麗で洗練された境内です。
天気も相まって実に美しいものでした。
もっとも堂内の仏像が如何なる素晴らしさなのか、薄学にして言葉にするのは難しかったです……。


また近傍に合った斑鳩神社にも立ち寄ったのですが、残念ながらこちらは工事中で参拝することが出来ませんでした。
この日は法隆寺参拝を終えた日暮れ頃から、雲域が怪しくなり一気に大粒の雨が叩きつける豪雨に。
強い雨に打たれながらどうにか車を転がし、這々の体で奈良市街へ戻りホテルに泊まることとなりました。
翌日曜日も午前は天候に恵まれてたので、予定通りにレンタカーで再び奈良盆地の南部へ。
最初に向かったのは盆地から東へ、三重県境近くの室生寺へ参拝しました。


山門から立派ですが、こちらの見所は五重塔と山中の奥の院です。
余談ながら、つい先日まで研究室に所属していたフランスからの留学生がいたく気に入っていたお寺でもあります。
エキゾチックな山中の静謐な寺院、実に絵になります。


訪れたのが朝早めだったせいか、なお静謐に重ねて人も少なく落ち着いた雰囲気の有り様。
女人高野というだけあり、女性の僧も多くいる印象をうけました。
室生寺に続いて訪れたのは、観音信仰の元祖、長谷寺です。
こちらも名前は有名ですが訪れたのは初めてのお寺。長い登廊が有名だとか。


然り、見果てるような長い木造の回廊は息を呑むような迫力がありました。
こちらは室生寺とは打って変わって、人も多く賑わっている印象でしたが、それでも十二分に風情です。


この辺りは紅葉が見所なのだとか。
奈良は全体的に夏場が見所が少なく、修学旅行生もいなくなるためにオフシーズンになる感覚です。
夏休みなのにオフシーズン、不思議なようですが、ある意味奈良らしいです。
長谷寺の後は近傍の與喜天満神社にも立ち寄ったのですが、生憎と誰も管理者が居ない様子だったので参拝だけして撤収。
ついで少し北側の山中に入った笠山荒神社へと向かいました。


荒神様といえば、一般には竈の神様。台所に祀られていたりといったイメージは有りますが、単体の神社としてある記憶はありません。
そんな荒神様ですが、この笠山には列記とした大きな神社として存立しています。
由来等は今ひとつ承知していませんが、どうやら神仏混交による信仰が原点となった社なのだとか。
方々に案内板があったりと相応に規模と格を誇る様ではあります。
また、余談ながらこの神社の向かいにある蕎麦店が非常に有名らしく、昼食がわりに立ち寄ってみたところ予想以上に混んでいて驚かされました。
わざわざ細い道を辿って訪れるだけのことはある非常に美味でリーズナブルな蕎麦にありつくことが出来、旅の邂逅の醍醐味を味わったような気がしました。
そんなこんなで笠山荒神社を後にした頃から、この日も雲行きが怪しくなってきました。
一応は予定を曲げずに談山神社に向ったのですが、着いた頃には土砂降りで身動きも取れない有り様です。


雨の小康状態を突いて参拝してみたものの、近くの側溝は既に溢れかえっている程の集中豪雨です。
身動きもままならぬ中で、どうにか有名な仏塔(!)や本殿などひと通りの見るべきものは見て回ります。


特に本殿横の広間となっている建物は、畳敷きの中に興味深い由緒書の巻物や祭具が展示されており、さらには窮屈な撮影禁止の表示もない鷹揚さです。
ちなみに談山神社は本来的には寺院色の強かったところ。中臣鎌足を祀る社だったのですが、仏塔やら仏像やらと今でも廃仏毀釈以前の面影を色濃く残しており、お寺に居るのか神社にいるのか迷ってしまうような雰囲気がありました。
雨に打たれて少々疲れ気味だった身には、最高にホッと一息つけるシチュエーションです。


思わず雨が止むまで、ここでのんびりしていようかと考えてしまう程でしたが……流石にそれは都合が許さないので、よしなにくつろいで撤収としました。
ところで全くの余談ですが、この日は「えんむすび云々」と平たく言えば婚活的なイベントを境内でやっていた模様。
儀式殿と呼ばれる神楽殿のような建物で、山手線ゲームをしている男女の姿は、なんとも奇妙な印象を受けてしまいました。
次は天気のいい時に行きたいですね……。
談山神社の後は流石に雨もひどいとあって、この日も宿泊予定の奈良市街のホテルへ向けて撤退することに。
帰りの道すがら、目の前を通りがかったので、つい大和神社なる神社に寄ってはみたのですが、折からの雨で既に社務所も締まり誰もいない状況です。
雨も未だに強い状況だったので、ふらりと境内を回り興味深い石碑を写真に収めたら、続きは次来るときにとっておくことにして先を急ぐこととしました。


斯様な次第で早期撤退を強いる強い雨でしたが、幸いにも日没頃には止んでくれたので、この日の夜は元興寺の万燈会を見物することに。


元興寺は奈良市街、近鉄奈良から少し南に外れた古い町並みの残る奈良町地区にあるお寺です。
正確にはかつて隆盛を誇った元興寺の跡地が奈良町となり、その残滓の一つが現在の元興寺となります。
何はさておき、供養のため石塔や地蔵の周囲に燈火を灯し、和楽の演奏や著名人の描いた灯籠を展示する法会です。
全く知らなかったのですが、たまたまポスターを見掛けて気になり訪れた次第です。
雨もあったので開催されること自体を危ぶんだのですが、杞憂に終わり晩夏の夕暮れを美しく灯す風情ある空間を拝むことが出来ました。
そんなこんなで土日と奈良を満喫してもう一泊。
月曜日は朝食を採ってから、レンタカーで学校の寮へ送ってもらい両親と別れて……学校です。
学会も近ければ、留学生が帰国するのでその準備もあるし……とやること山積みですからね……致し方なしです。
ちなみに両親はその後、奈良から京都へかけて適当に観光したのち、帰路へついたとのこと。