月曜備忘録

東奔西走したり、近場をさまよったり、お家でぐったりしたり……週末の所業や所感を記録する場所(旧名:兵站の鬼を目指して……)


高原都市への巡礼の話

クーラーのない部屋が祟って、ろくに寝ることもままならない日が続く盛夏のこと。

この土曜日はふらりと思うところもあって、大和郡山界隈にある奈良県立民俗博物館を見学です。
入り組んだ街路に面食らいながら、どうにか行き着いた先にあったのは、奈良盆地での稲作や吉野の林業を紹介する興味深い展示の数々……だったのですが、悲しいかな写真撮影禁止とのこと。
帰路には稗田の環濠集落にも寄ったのですが、綺麗なところでありました。


さて、大和郡山に行ったのは暇を持て余した土曜日の話。
一方の日曜日はもう少し計画建てたお出かけを実施です。
先週の初め頃、暑さにヤラれた頭で次のお出かけの目的地を選定していたならば、涼を求める意図も相まってとある高原の宗教都市が目に付いた次第。
折角なので、例のごとく研究室の後輩や留学生を誘って歴史と地理のお勉強にお出かけです。


慣れた列車を乗り継ぎ難波に出て、さらに南海列車へ。
郊外型の路線は徐々に山間に至り、交通の要衝橋本駅を過ぎれば、その先は急曲線と急坂の織り成すファンタスティックな登山電車。
その終点、極楽橋駅で下車して来たるは紀伊半島が世界遺産の一角、高野山です。
IMGP2684.jpg IMGP2688.jpg
厳密にはここから更にケーブルカーに乗って到着ですが……今回はケーブルカーには乗らずに、登山道を軽くトレッキングして目指します。本来的には京都や大阪からつながる古い街道なのですが、流石にそれは無理な相談です。
極楽橋駅の名の由来は、駅前にかかる朱塗りの橋に寄ります。ここから参詣道に合流して、おおよそ小一時間の行程。

駅前からして、なかなか窮まっていますが実際のところはこの先が更にロックンロール。
曰く、数年前の大水害の影響で道が崩れているので通行止めとのこと、です。
が、南海の職員さんに聞いたところ「なんだかんだで行ってる人は行ってる」とのこと。行けるなら、行きましょうで、そのまま行ってしまうことにしましょう。
IMGP2689.jpg IMGP2697.jpg
道中、バンコクから来たイングランド人と流れのままに帯同し、車が途絶え舗装が土砂に覆われた道を辿ります。

結論から言えば、思った以上に崩れてましたが、歩くには支障のないレベル。
ただ見た目的には相当インパクトが有ります。下の方では、復旧工事も行われていたのでいずれ治ることでしょうが……。
IMGP2704_20140728001959ae1.jpg IMGP2705.jpg
何はさておき、登山道側からの入り口、無事に女人堂に到着です。
女人禁制の往時は、ここから先は境内地のため、女性が入れないことから、ここでお参りするためにできたお堂なのだとか。
今や関係ない時代ですね。人々はバスに揺られて女人堂を顧みることも少なく寺内へと進みます。
IMGP2706.jpg IMGP2713.jpg
そんな訳で私達も徒歩ですが、中心街に至り観光案内所で地図を入手し、その後にお昼ごはん。
そして無事に、高野山の中枢にあたる金剛峯寺に参ることが出来ました。

金剛峯寺は、拝観料を払うことで寺院の内部も見学可能です。
IMGP2715.jpg IMGP2716.jpg
室内では各種の弘法大師や高僧由来の品、屏風絵などを拝見することが出来ます。
撮影はおろか、スケッチも禁止なのが厳しいところですが……拝観料を払うだけの価値はある素晴らしい品の数々です。
また、外には石庭も配置されています。何を意味しているのかわかりませんが、落ち着いた素晴らしい雰囲気です。
IMGP2720_20140728002459fff.jpg IMGP2726.jpg
日頃の行いが良いので、大広間的な休憩スペースではお茶と簡単なお茶うけも頂戴することが出来ました。

大広間での休憩後は、別の石庭や四季の庭を経由して、台所へ。
IMGP2727.jpg IMGP2730.jpg
石庭は日本最大級を誇るものだそうで、石の配置が雲を泳ぐ龍をイメージしているのだとか。私には判りかねます、修行が足りてませぬ。
四季の庭の方は石庭以上に奥の深い、緑に覆われた庭です。自然な四季の移ろいの美しさに思いを馳せるのだとか、深くて難しい。

一方で、台所の方は儀式の時などには現在でも使われることのある水場や竈を見学することが可能です。
なかなか見る機会のない、お寺の裏側、お釜も洗い場も古民家と似た構造ながらしっかり板の間だったり設備が大掛かりだったりと、興味深い限りです。
IMGP2732.jpg IMGP2737.jpg
全くの余談ながら、この辺りから白人の先生と思しき方が学生風の連中を引率しているところに、要所要所で出くわすようになります。
英語で日本文化を解説しているようなので、最初は興味半分に聞き流していたのですが、よくよく聞いてみると私なんかよりよっぽど詳しい様子。食料保存用の棚の、ねずみ避け用の白い紙の意義なんて、私も知らなかったのですがいい勉強になりました。
道々、仲間内で正体を推測し合いましたが、大学か何かの先生らしい以上のことはわからずじまい。しかしながら、おそらくはその道のプロの方なのか……非常に参考になる次第です。

金剛峯寺を後にしたら、次は壇上伽藍と呼ばれる領域へ。
こちらは名前の通り、各種の建造物が並ぶ区画です。
IMGP2748.jpg IMGP2750.jpg
特に朱塗りの根本大塔と、年季溢れる金堂は、その威容に恐れ入るばかりです。
さらには拝観料を払って中に入れば、巨大な仏像が待ち受けています。……良い物を見ました。

伽藍内にはまた、高野山の守護神たる神社も置かれています。単独の明確な神社の体はなく、いくつかの神が祀られているのだとか。
余談ながら麓には「弘法大師を高野山に導いた山の神」を祀る式内社もあるのだとか……いずれ行きたいですね。
IMGP2762.jpg IMGP2770.jpg
他には世界遺産の一角となる高野山の西の入り口を成す大門も見物。こちらはちょうど紫陽花が見頃だったようで……非常に絵になりそうだったのですが、諸般の事情でコンパクトデジカメしか持っていなかったのが惜しまれるところです。

大門のあとは、位置的には大門の真反対に当たる高野山の最重要な聖地、奥の院へ向かいました。
真反対と行っても数km程度しかない範囲であり、さらには山内巡回のバスが多数走っているので、特に問題となりません。
加えて、登山電車の深山幽谷を思わせる車窓からは想像もつかないほど、高野山内は“都会”です。
観光客から僧侶まで、人通りは多く、商店街も万全に機能し、コンビニからATMまで当座の生活に必要な物は一式全て揃っている有り様は、下手をすれば麓の町よりよっぽどしっかりしているかもしれません。
IMGP2780.jpg IMGP2782.jpg
そんなことを考えながら、着いてみたるは奥の院へ繋がる杉木立です。

この杉木立には、古今の様々な方の墓所が立ち並んでおり、その中には教科書にも出てくるような名だたる大名や歴史上の人物も含まれるのだとか。
IMGP2784.jpg IMGP2791_20140728005133f51.jpg
話には聞いていましたが、実際に見てみると本当に驚くばかりです。
有名な大名や人物の墓所には紹介の標識が建っているのですが、見てみると奥州の南部氏から薩摩の島津氏まで、本当に全国各地の大名の名がありました。どうしてまたこう日本中から集まったのか不思議なものです。
IMGP2801.jpg IMGP2803.jpg
中には化粧したお地蔵さんや、お墓を通り越して石室の形を成した墓所まで……。
他にも創業者や物故者のための企業墓地もあれば、天皇の墓所まであり、本当に日本の墓制の奥深さを思い知らされる思いでした。
IMGP2804_2014072800591879f.jpg IMGP2806.jpg
そんなこんなで辿り着いたる最奥部が、真言宗の始祖、弘法大師の墓所になります。
真言宗的には、あくまで亡くなったのではなく、ここで永遠の瞑想を行っていることになるのだとか。
立て看板にも斯様に記載されてましたが……どちらにしても神聖な土地です。橋を越えると案内板により、明示的に静粛が求められています。当然、撮影も禁止でありましたが、とても静謐な雰囲気の漂うところでありました。

斯様な次第で、最後はお土産に“般若湯”を物色して、バスに乗り込みケーブルカーの高野山駅へと至ります。
般若湯とは言わずと知れた日本酒の別名。「酒は百薬の長」の諺の如く、少しだけなら体に良いとの建前で、諸々の御託や名前をつけて、高野山内のお坊さんも飲んでいるということです。
IMGP2821.jpg IMGP2824.jpg
それはさておき、風情ある駅からケーブルカーと列車を乗り継ぎ、帰路についたら流石に一日歩きまわった疲れが出てきます。
若干、ぐったりとしながらふらふらと来た道をたどるように奈良へと帰って今に至りました。


なにはなくとも、今回の痛恨事は一眼レフデジカメを持って行かなかったこと。
天候と山歩きを気にして省いてしまいましたが……惜しいことをしてしまいました。

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

 | ホーム | 

カレンダー

« | 2017-08 | »
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

中の人について

molmol

Author:molmol
連絡先:aria_freak@ホットメール、mixi


社会的圧力に負けて働き始めた巫女好き提督。2年かけて回復したSAN値を瞬く間に失い、工場街のおんぼろアパートでサバイバルなう。

何かにつけて神頼みする近所のお稲荷様に感謝

個人的リンク

私が勝手に(無断で)貼ったリンクもあります……。 どうか、ご配慮願います。

分類……してないなぁ?

"兵站"内の探し物はこちらへ

月別ログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2Ad