月曜備忘録

東奔西走したり、近場をさまよったり、お家でぐったりしたり……週末の所業や所感を記録する場所(旧名:兵站の鬼を目指して……)


群馬を知るために

空梅雨のまま台風を意識する盛夏を迎えた今日このごろ。
JR東日本のあちこちの駅で「お前はまだ夏のグンマを知らない」と妙に煽りの入ったポスターが掲げられ、今年も何故か群馬県がフィーチャーされるシーズンになりました。

しかして考えてみれば、伊香保や草津の温泉に行き、横軽の急坂も見に行っていますが、未だに上野国一宮にも参拝できていない状況。
いい機会ですし、ちょっと群馬観光に行こうと思い立ったが吉日です。
折よく、有休を分捕る隙もみつけたので、金・土の泊りがけで遊びに行くことにしました。


内房から総武本線と高崎線を乗り継いで、高崎へ至り上信電鉄上信線に乗り換えて小一時間。
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一足飛びに一宮である貫前神社の最寄り駅、上州一ノ宮駅に向かいます。
風情ある駅舎に迎えられて、ここから歩いて10分ほどのところに目指す社はありました。

上野国一之宮貫前神社は堤防のように聳える鳥居を越えると、降った先に拝殿がある特殊な形態です。
謂れは色々とあるようですが、よくわからないのが正直なところ。
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由緒書きに曰く、元はもっと近隣の川の上流にある霊山に鎮座していた神様が下り来たものなのだとかなんとか。
近辺には古墳もあるそうで、古くから人々が住んだ土地の社ではありそうですが……どうにも暑さで、それどころではなかったのが残念なところです。

無事に御朱印もいただいたら、行き掛けの駄賃に上信電鉄の終点、下仁田駅まで追加の乗り鉄。
本当は行って帰るだけのつもりだったのですが、駅前の観光案内板で文化財指定された神社の存在が目についたので、少しばかり待ちを散歩してみることにしました。
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駅前から目的の神社までは町の目抜き通りだったようで、細い路地ながら左右に古いお店やお店の跡が並び立ちます。
「撞球場」や古風なパチンコ屋さん、古風な食堂などなど……往時の賑わいを感じさせるその様子は、どこか町全体がセピア色をしているのではと思わせる何かを湛えていました。
そんな通りを抜けて5分少々でしょうか、目的の諏訪神社は町場の小さな氏神様といった境内です。
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しかしながら近寄って社殿を見れば文化財指定も納得の見事な彫刻ぶり。本殿の壁面まで彫刻が施され、そのどれもが立体的な彫込をされています。
巧技を評するほど彫刻に詳しくはないですが、そんな素人にも一目で豪華とわかる存在感です。
町並みといい、豪華な神社といい、おそらくは製糸業が盛んだった時代の名残なのでしょう。
町の歴史資料館にも寄りたかったのですが、駅から少し距離のある町外れだったので見送ってしまったのが惜しまれるところです。

駅前の食堂で下仁田かつ丼なるソースカツ丼の一種で腹拵えして、折り返しの列車に乗車。
後から知ったのですが、下仁田の一帯は地質学的にも非常に特殊で面白い土地だったのだとか。そちらの方面を展示した資料館もあったそうですし、次は下仁田そのものを主眼においた観光もいいかもしれません。

それはさておいても列車は富岡製糸場の最寄り駅を過ぎ去り、高崎の郊外に差し掛かります。すると、ぼんやり前展望を眺めていれば駅の近くに大きな鳥居が目に入ってしまいます。とりあえず途中下車をするしかないですね。
降りたのは山名駅なるこれまた少し風情のある駅舎の駅です。
上信電鉄はどの駅も古びたローカル線の雰囲気を残していて趣深いです。
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ここから鳥居の方へ向かうと目についたのは線路の下を潜る参道。跨線橋や踏切は見たことありましたが、アンダーパスは初めてです。
色んな参道があるものだと感心しながら、社殿側に目をやればこちらは至って普通の神社な雰囲気です。
鎌倉時代に創建されたと伝わる山名八幡宮は、近隣では安産祈願のお宮として名を馳せているのだそうです。
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安産に縁はないのですが何はさておいて石段を上がって拝殿で参拝。
御朱印を貰おうと社務所に入ってみると、またしても驚き。社務所が小洒落た雰囲気の電灯や調度で彩られています。
神職の方の趣味なのか、町おこしか何かなのか……よくわからないところですが、参道といいなんとも不思議な神社でありました。

ちなみにこの近隣もまた古くから人が住んでいることが確かな由緒ある土地。
時間の都合で行きませんでしたが、この山名駅から少しばかり歩いた先には飛鳥時代の石碑が現存し一般公開されているのだそうです。
当時の僧侶が母親の墓碑として建てたもので、近傍の古墳の被葬者と対応すると考えられているのだとか。当時の家族関係や系図や、上代日本語そのものの文献として、学術上非常に価値がある代物なのだそうです。
この近辺には同じような日本屈指の古碑が他にも2つ現存しているそうですし、いずれまとめて見学に行ってみたいものです。

高崎駅に戻ったのは17時を少し過ぎたくらいのこと。宿に入るには少し早すぎる気がしたので、乗り潰しも兼ねて信越線を横川駅まで一往復して、1時間ほど過ごしてからチェックインして高崎の夜に飲みに出かけました。


翌朝、土曜日は少しだけ早起き。私が酔いどれていた夜半の間に高崎入りした元寮生と合流し、上越線で北上します。
水上駅で一度乗り換えて降り立ったのは“モグラ駅”と名高い土合駅です。
下り線のホームが地下深くにあることで一部で有名なこの駅、谷川岳登山の玄関口でもあり朝一番の列車で至れば意外と利用客がいることに気付きます。
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噂の長大階段もインパクト十分。先行する利用者の背中があるので気持ちは軽いですが、これに独りぼっちで降り立った日には、なるほど心が折れるかもしれません。
そしてまた階段ばかりが有名で知らなかったのですが、地上に上がった後の通路もなかなかに凄みのある雰囲気を備えています。
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他のお客さんの背中が遠くなり、友人と2人で物静かで古けたブロック塀の通路を進んでいると、曲がり角からゾンビが姿を現すのでは――と思わせるような退廃感が醸し出されているようでした。

さて、いくら物好きといえど、モグラ駅を見るためだけにわざわざ土合駅まで来た訳ではありません。
地上にでたら、この日の真の目的地、谷川岳を目指して行動開始です。
駅舎を出て夏の陽光を浴びれば、先程までの静かな緊張感は吹き飛び、一挙にアクティブでアウトドアな気分です。
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先程、おっかなびっくり通り抜けた回廊の下を陽気に潜ってロープウェイ乗り場から、一挙に標高1300m級の高みに登ります。
ここから道程およそ3km、標高差600mの行程を谷川岳目指して歩きましょう。
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目指す山頂は遠近感が狂うほど間近に見えますが、ここから標準で片道2時間半。慌てず騒がず着実に、です。

初めて見る“避難小屋”を経由して、初めての本格的な岩場を歩みます。
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夏山の暑さと、想像以上に急峻な傾斜にへばりながらも頑張ります。

1時間半ほど歩いて進めば、徐々に木々の背が低くなり見晴らしが良くなります。
振り返って見れば尾根筋を登っている実感が湧いてきて、今までの苦労が報われたような気持ち良さがあります。
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横に見える切り立った尾根筋は、名も知らぬ谷川連峰の上級者向けの山々。雲が稜線に巻き付く姿は幻想的の一言で済ますには、あまりに変幻自在で見飽きない魅力がありました。

途中から雪解け水で泥濘みだした登山道を辿って、源流にあたる草木も絶えた雪渓を迂回したら、いよいよ頂上は目前です。
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最後のチェックポイントである肩の小屋で一休みしたら、雲が増えてきましたが山頂目指してアタックです。
雲に巻かれた尾根筋の小径を慎重に歩んだ先が目的地です。
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無事にどうにか、五里霧中ながらも山頂に到達することができました。

山頂では休憩がてらに昼食を取りつつ、雲が切れ間を見せるのを待ち構えます。
お茶でも飲んでぐったりしながら、望むこと20分ほどで幸運にも青空が顔を出し、朝日岳も姿を表します。
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青い空と白い雲と青い山並み、目に優しい色合いの絶景が拝めて、もう思い残すことはないでしょう。
人が苦しい思いをしても山を目指す気持ちがまた一つわかってしまいました。

またこういった高山は当然ながら自然の宝庫でもあります。
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警戒心の足りない気がする昆虫が、目と鼻の先で好き放題するのですから見ていて飽きることがありません。
トンボとこんな近くでにらめっこができるなんて、なかなかある機会ではないと思います。

山頂で30分ほど高山を満喫したら、今度は下山の番です。
遠足は帰るまでが遠足、登山は登りより下りのほうが危険が多いと言いますが、岩場の多い谷川岳では下りの滑落が何より恐ろしいです。無理はせず、必要なら手をついてゆっくりと下ります。
肩の小屋から雪渓を巻いて、避難小屋の屋根が見えた辺りで雨が降り出してきました。
山の天気は変わりやすいとか、雷鳴が聞こえたら気をつけろとか、色々と言われますが、正しくな状況。慌てず騒がず先日買ったレインウェアを着ようとしたら、何たることかバックパックの底で持ってきたシャンプーが爆発し、レインウェアの一部が妙なぬめり気を放っていました。
テンションだだ下がりですが処置しようもなし。デビュー早々にとんだ目にあっているウェアを着込み、雨に濡れて滑りやすさが増した道程を、先程以上に慎重に下ります。
想定より少しばかり遅くなってしまいましたが、無事になんとかロープウェイ乗り場に到着したら、ようやく一安心といったところです。
水場でレインウェアを洗って、撥水性が失われていることにげんなりしながらも、あとの処置は帰ってからと割り切り、麓へ向かいましょう。
ロープウェイとバスを乗り継いで水上駅まで戻ってきた頃には、空はすっかり晴れ上がり遠くに入道雲が顔を覗かせる夏空です。
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水上温泉の日帰り湯で一息ついてビールを飲んだら、ようやく一心地ついて無事な帰還と達成感に浸ることができました。
日が暮れるまで休憩室でだらけきっていたら、雨が追いついてきてしまい駅に戻るのも躊躇うほどの土砂降りになったのはご愛嬌でしょう。
飲み屋に立ち寄る気持ちを折られ、ホスピタリティ溢れる温泉の職員さんの勧めに従って、休憩室で地酒を飲みながら雨が収まるのを待ち帰路へと就きました。


高崎からグリーン車に乗り込んで飲みなおしつつ、家に帰り着いたのは日付が変わった頃。
倒れるように寝入って、今日は朝から荷物の片付けと手入れで日曜を磨り潰して過ごしました。
昨日の今日で余韻に浸っているからでしょうか、レインウェアを洗い直したりバックパックを乾かしたりしていれば、不思議と充実感があったのが印象的です。

そうこうしているうちに夜になり……明日からはまた出張業務、自宅の荷物置き場化が捗って困りますね。

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社会的圧力に負けて働き始めた巫女好き提督。2年かけて回復したSAN値を瞬く間に失い、工場街のおんぼろアパートでサバイバルなう。

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