月曜備忘録

東奔西走したり、近場をさまよったり、お家でぐったりしたり……週末の所業や所感を記録する場所(旧名:兵站の鬼を目指して……)


同人登山部と行く甲斐駒ケ岳

詳細は省きますが、気付いたら出張先がアメリカになっていました。
人生、本当に何が起こるかわかりません。


話は遡って、次の出張が海外と判明する少し前のこと。フォロワーの天野しきさんから「山に登ろう」とのお誘いを受けました。
二つ返事で了解したところ、提示された日程はまさかのテント泊登山。
少人数でのキャンプこそ近年たまに実施しますが……登山テントや秋冬寝袋、携行調理器具のような山でキャンプするほどの装備などありません。
大慌てで必要な装備を調べ、足りないものと食材は買い揃えます。流石に登山テントだけは財布の都合もつかず、レンタルの手配で済ませましたが……。
合間合間も出張が入るので、隙きを突くような準備状況、どうにか様になる状態に整ったのは出発直前という慌ただしさのまま、本番の日を迎えました。

当日は先の週末の土曜と日曜。土曜日は朝から中央線で甲府に向かい、ここで南アルプス林道へ向かうバスに乗り換えます。
IMGP1780.jpg IMGP1782_20171005105813299.jpg
広河原という北岳などへの登山口となる拠点で、さらにバスを乗り換えて深山幽谷へ。
一杯の登山客を抱えて、峻険な南アルプスの渓谷を縫うように走る細い林道を、バスはゆっくりと進んで行きます。
広河原からは目的地の北沢峠までは30分ほど、甲府駅から乗り継ぎを含めると3時間程度。久々の随分な長旅で行き着いたのは甲信国境に近い南アルプスの登山拠点、北沢峠。
甲斐駒ケ岳や仙丈ヶ岳、さらには南アルプスへの縦走路の入り口にあたり、山小屋やバス乗り場、テント場が点在する「南アルプスの玄関口」とも言える場所です。

この日の移動はここまで。金曜からこの北沢峠に宿営し、土曜日は仙丈ヶ岳に登っていたという天野しきさん、薫製ハムさん、kumeさんと合流し、後追いでテントを設営して早めの夕飯の準備に取り掛かりました。
IMGP1792_2017100510581590f.jpg IMGP1794.jpg
合流した3名はいずれも同人作家さんで、かつ登山経験値も高い山男。すなわち“同人登山部”です。
創作派でもなければ、登山も初心者な私が何故この場にいるのかも、だいぶ不思議ですが……世は奇縁と不思議に満ち溢れているものです。

初めての山自炊も、手慣れた先達に教わって何とか実施。山で食べるご飯は何故こんなに美味しいのかと、いつも不思議に思います。
IMGP1799_20171005111328443.jpg IMGP1807.jpg
就寝は脅威の18時過ぎにして、起床もまた早朝とすら言えない3時半。テントに霜が降りる寒さに難儀しながら夜を明かしましたが、何とか起きあがれば既に周囲のテントも活動を始めています。
長時間露光で撮影すれば、行き交うヘッドライトが美しい光景になるのですが……気温も時間も余裕がないのが辛いところです。

寒さに打ち震えながら調理して朝食を摂ったら、装備を整えて本日の登山の始まりです。不要な荷物はテントに残して、身軽な状態で上へと登ります。
薄暮の木立を慎重に進み、空が明るんで来た頃には谷筋のがれ場を通過。夜が明けても谷間に日が差すのは暫く先と行った薄暗がりから、仙水峠に上がれば日差しと眺望が一気に目に飛び込んできます。
IMGP1817.jpg IMGP1833.jpg
出会った眺望は、薄靄のかかった甲府盆地と呆れるほど澄んだ青空の対比が美しい光景。青と黒ばかりが目に痛い世界ですが、道のりとしてはまだまだ半ばです。
見上げた先に白く尖った頂こそが、目指す甲斐駒ケ岳。がれ場から木立に戻って視界が狭くなりますが、へこたれずに頑張りましょう。
IMGP1831.jpg IMGP1837.jpg
淡々と木の根道を辿って小一位時間ほど行くと、甲斐駒ケ岳の隣の山頂、駒津峰に至ります。
ここからは稜線を伝うように甲斐駒ケ岳の斜面に取り付き、難度の高い切り立った岩場を迂回して砂地の斜面を這い登ります。
IMGP1872.jpg IMGP1896.jpg
この山の山頂部は花崗岩質の白い岩肌が夏場でも雪を被ったように白く映えるため、その鋭い峰の雄大さや南アルプス北端の平野から目立つ立地と相まって、麓の信仰を集める霊山と崇められていたのだとか。
一目でわかる白い峰は、登ってみてもまばゆい白さを放ち、真っ青な空と挟まれると、ある種異世界に迷い込んだかのような非現実感がありました。

そんなこんなで登り始めて5時間ほどで甲斐駒ケ岳の頂上に到着です。頂きには駒ケ岳神社の奥宮の祠が鎮座しています。
IMGP1911.jpg IMGP1921.jpg
山頂にて昼食も兼ねた休憩。お湯を沸かしてカップ麺です。「頂上で食べるインスタント食品は美味しい」ので必須科目だそうです。
もちろん、周囲の眺望も良好。八ヶ岳連峰や甲府盆地、伊那谷から、辿ってきた駒津峰への稜線とその向こうに聳える仙丈ヶ岳まで・
IMGP1935.jpg IMGP1938_20171005114431660.jpg
天気は良好、四方を見渡す気持ち良い登山となりました。

ちなみに登りより危ないという下山も、同程度の時間を掛けて双児山の峰を抜ける経路で北沢峠へ帰還。
テントを撤収して長野方面のバスに乗車。バスの終点にある駐車場から、しきさんの車で高遠方面へ向かい、温泉で一息いれて無事を祝うことができました。

ただし、この後にひと波乱。温泉で油断して電車の時間を甘く見積もってしまい、乗るつもりだった列車を逃してしまいます。
一本後の列車でも帰宅は間に合うため、事なきを得ましたが……少し焦ってしまいますね。


斯様な次第で自宅に帰ってきたのが日曜の日付が変わる頃合い。そこから、準備して海外出張ですから、我ながら忙しなさがエスカレートしている気がします。

霊峰富士登拝のこと

相も変わらず慌ただしいなかで、寸暇を惜しんで旅行に出る日々。
先だって友人の“えめろん”氏が「富士山頂の御朱印が欲しい気がする」と、ざっくりとした誘いをかけてきたので、渡りに船と話を具体化していたのが8月下旬のこと。
諸々の準備が整い、登山期間の終わりも迫っていたので、ついに決行したのがこの週末のことでした。


そのような次第で土曜日は新富士駅にて、えめろん氏及び元寮生と待ち合わせをして、えめろん氏の車で富士山方面へ出発です。
途中、富士宮の浅間大社にて登山の無事を祈願し、昼食と登山物資の補充を行って、富士宮口の五合目を目指します。
2合目に相当する水ヶ塚の駐車場に車を置いて、シャトルバスに乗り換えて、九十九折の山道をしばらく揺られていれば五合目に到着です。

五合目から先は登山道、両の足だけが交通手段となります。
慎重に装備を整えて、ゆっくりと無理のないペースで登りましょう。
IMGP0045_201709122144100db.jpg IMGP0056_201709122144116bd.jpg
もっとも、土曜日の到達目標は歩いて20分内外の六合目まで。ここの山小屋に宿泊予約をして、明朝から山頂を目指す段取りです。
かなり悠長に15時頃から登り始めても、夕食まではだいぶ余裕のある時間に到着してしまいます。
仕方ないので腹ごなしがてらに、歩いてすぐの宝永火口見物に往復です。
宝永火口は江戸時代、宝永年間に起こった記録上最後の大噴火で出来た火口。富士山の脇腹に巨大な穴を穿ち、関東一円に火山灰を降らせたと当時の書物に記録されているそうです。
静岡側から観る富士山にはアクセントのごとく付きものの宝永山ですが、間近で見るとその雄大さに度肝を抜かれます。
そのすり鉢状の窪みは澄んだ空気のもと手に取るように全容が見渡せるのですが、火口底にいる人間は豆粒の如き大きさに過ぎません。雲もまた時々刻々と姿を変えつつ、添え物のように火口内で渦巻き、あるいは山裾を這うのですから、いつまで見ても飽きない不思議な光景でした。
IMGP0082_20170912214412bd7.jpg IMGP0109_20170912214413738.jpg
しばらく火口を見学したら、山小屋に戻って翌日に備えます。
目の前に広がる青空と雲海、夜の星空と日曜の登山に期待で胸が膨らむ思いで夕飯を食べ、のんびりと夜の帳が降りるのを待ち構えました。

夜は晴れたり曇ったりの中で、月の出が迫った20時頃が一番の好条件。南の空に天の川が流れ、眼下には裾野から富士、富士宮を経て、清水辺りまでの夜景が広がります。
IMGP0122.jpg IMGP0146_20170912220329264.jpg
一瞬の好条件を突いて空を見上げて星を撮ったり、さもなくば流れる雲を追ってボンヤリと夜景を眺めたり。風の強い富士山らしい、一時も休むことなく変化する雲の様子はどれほど見ても見飽きませんでした。

星撮りに寒さの限界を感じ、消灯時刻も迫った21時前でこの日は諸事を終えて就寝へ。
翌朝は午前5時には起きて、日の出の前には出発です。
IMGP0155.jpg IMGP0162_20170912220332fa7.jpg
払暁の空もまた雲が下から照らされて、独特の陰影を描き出し美しい限りです。
目指す先は富士山頂、見飽きぬ雲の表情とは反対に登山道は本当に一様の上り坂で、先々が思いやられるほど気の遠くなる道のりでした。
だんだん薄くなる空気と険しくなる坂道。加えてこの日は登山期間の最終日とあって、山小屋も宿泊客を送り出したら店じまいの準備を初めています。
物品の販売はまだしも、トイレも閉鎖されてしまうのですから少々焦りを感じてしまうのはご愛嬌ですよね。
IMGP0203_20170912221818c6b.jpg IMGP0209_201709122218204fe.jpg
余談ながら富士山の八合目より上側は、登山道や諸施設を除いて浅間大社の境内地の扱い。八合目の山小屋近くには雲海を見下ろすように境内地を示す鳥居が立ち、神域に入ったことを教えてくれます。

ちなみに危機感の方は、九合目の山小屋も閉鎖済みなことを確認して、いよいよもって具体性を帯び始めていたのですが、幸いなことに九合五勺の山小屋は未だ営業中だったので事なきを得ます。
IMGP0230.jpg IMGP0233.jpg
九合五勺、英語表記では“9.5th Station”となるそうで、なんとも直球ですが……ここに山小屋があるのはやはりこの辺に需要があるということなのでしょう。
ここを過ぎたら、いよいよ頂上に至るのみ。麓からは笠雲に見えるだろう層状の雲の向こうに、ゴールを示す鳥居が見えていました。

最後の一息を登りきり、頂上に鎮座する浅間大社奥宮に辿り着いたのは10時を少し回ったくらい。社務所もこの日で閉鎖とのことであり、見れば御朱印受付も10時までと掲示されています。
ダメ元ながら大慌てで社務所に駆け込めば、幸いにも締め切り直前、最後の呼びかけの真っ最中。どうにか無理を言わずにお願いできるギリギリのタイミングだったようです。
図らずも、今シーズン最後に御朱印を受け取った男になってしまいました。
IMGP0243.jpg IMGP0275.jpg
そういう次第で奥宮に参拝して御朱印を頂戴したら、真の最高点、剣ヶ峰へ。カルデラ一周のお鉢めぐりコースを時計回りに辿って、目指します。
歩くと言っても、お鉢めぐりは稜線歩きのようなもの。高低差も少なく、いつの間にやら笠雲も晴れて晴天下の気持ち良い高原散歩気分です。
剣ヶ峰の頂上部までは奥宮から歩いて20分弱。旧富士山測候所の目前に二等水準点と「日本最高峰」の記念碑があります。
当然ながら記念撮影に大人気のスポットです。寄ってたかって写真を撮っているので、もちろん我々も撮影します。
折角なので、普段はやらない自らも写った記念撮影までしてしまうくらい、達成感がありました。
IMGP0284_20170912223204151.jpg IMGP0307.jpg
お鉢めぐりコースは剣ヶ峰からカルデラ沿いにさらに1時間ほど掛けて一周し、奥宮の前に戻ってきます。
途中には山梨側からの登山道のゴール、吉田口の久須志神社と山小屋群や御殿場口の登山道への分岐路があります。
久須志神社の方は案の定、着いた頃には閉鎖済み。奥宮の御朱印がもらえただけでも御の字だったと思いながら参拝し、下りの安全を祈願して富士宮口に至りました。


下山は富士宮口ではなく、お鉢めぐりを少し戻って御殿場口から。途中で宝永山経由の分岐から富士宮口の六合目に至るコースを辿る予定で進みます。
IMGP0351.jpg IMGP0354.jpg
御殿場口の道のりは雲に覆われがちな天候もあってか、富士宮口よりも荒涼とした印象を受けます。
実際、交通量も少ないのかもしれませんが、道々の山小屋も一時閉鎖ではなく廃業(休業?)している箇所が見受けられます。
なかには建物すら崩れ去り、自然の厳しさの前に文明を維持する難しさを見せつけてくるような光景もあるくらいです。

そんな御殿場口の下りの醍醐味は、六合目付近から始まる下山専用の砂地「砂走り」です。
IMGP0375.jpg IMGP0383.jpg
砂場のような足元に下り坂も相まって、名前の通り砂の上を走るように降りることができます。
このため、下りだけ御殿場口を使うなんてパターンも多いほどだとか。確かに下りやすく、砂走りに入ってしまえば今まで歩いたのが馬鹿らしくなるほど呆気なく宝永山方面の分岐まで着いてしまいました。

宝永山は宝永火口の脇、噴火で吹き飛ばされたときに残された出っ張りのような形をしている富士山の側火山です。
山と言えど、あくまで添え物のような存在。御殿場口の分岐からはほとんど高低差もなく宝永火口の縁を辿っていけば行くことが出来ます。
IMGP0386.jpg IMGP0411.jpg
しかしながら、その光景は雄大以外の何物でもない素晴らしい鷹揚さ満ちています。
砂山のようになだらかな宝永山の道もさることながら、振り返ったときに目に映る富士山と宝永火口のスケール感こそ、語彙が足りなくなるような力強さがあります。
恐らく、富士山を登っているときよりも、頂上から四方を見渡したときよりも、何より富士山の雄大さを感じるような光景な気がします。
途方もないほど巨大な砂山が、途方もないスケールで“少しだけ”削られている様を観るためだけに、もう一度ここに来てもいいと思える光景でした。
また、一応は山としての体裁もあって頂上には石柱も設置されています。天気のいい日には、またここも山中湖から御殿場にかけてを見渡すことができるそうなので、そんな機会もあればいいことでしょう。
IMGP0419.jpg IMGP0427.jpg
宝永山から富士宮口の六合目は下り側では30分ほど。降り来たって振り返れば、にわか雨が虹を伴いながらこちらに向かっている様子が見て取れます。
タッチの差で逃げ切ったと言うべきでしょうか、追いつかれてはたまらないので、急ぎ目で五合目に戻り無事に富士山頂上制覇からの下山を達成です。

降り着いたのは16時前後のこと。都合11時間ほどになる計算ですから、ほとんど半日は山を歩いてたということです。
人間って随分とタフな生き物だと、我ながら感心してしまいます。


五合目からは来た道を戻るようにバスと車を乗り継いで新富士駅近くの銭湯へ。
お風呂で一息入れてから夕飯を食べて、新富士駅にて解散。各自家路に就くことになりました。
例のごとく、私はそのまま出張先へ直行ですが……それはまた、それ。

立山再拝の話

相も変わらぬ根無し草の今年2017年。気付いたら職場に新人が配属されていたそうですが、つい先日まで顔も知らなかったのですから重症です。
知らぬ間に馴染まれてしまっては先輩としての立場がありませんね、存在感が薄くては仕方のないことですが……。

さて、天候に今一つ恵まれなかった今夏ですが、珍しく快晴の週末となった8月最後の週末、26日と27日。
出張案件のスケジュールが久しぶりに遠出に好都合な配置となったので、気合を入れて遠出することにしました。
目的地は6月にも訪れて、息を呑むような雪景を目の当たりにした立山黒部アルペンルートです。
雪が溶けたら登りに行こうと思っていた立山、2ヶ月越しに手の届くところまで機会が巡ってきたのですから逃す手はない次第です。


今回の出発地は神奈川の実家でしたが、経路は基本的に前回と同じ。中央線のあずさ3号に乗って11時過ぎに信濃大町駅に。
tateyama(1).jpg tateyama(2).jpg
お盆休みを外しているとは言え、雪が溶けきったハイシーズンのアルペンルートです。トロリーバスのある扇沢駅行きのバスもほぼ満席となる混雑ぶり。
つい先日も乗った関電トンネルトロリーバスに乗り込んだら、あっという間に黒部ダムに到着してしまいます。
tateyama(4).jpg tateyama(13).jpg
前回と打って変わった晴天ぶり! 夏の観光放水も行われていて、まさしく観光地として知ってる黒部ダムの風情です。

特に観光放水は前回見損ねただけに、目の当たりにすると現実感のない規模に圧倒されてしまいます。
ダム直下の自然環境に配慮して噴霧状に放水するという特殊な放水口、パッと見ただけではそういう物かと思うばかりですが、直近の作業通路に人が立てば目を疑う巨大さをより実感することができます。
tateyama(38).jpg tateyama(50).jpg
遠目にはホースのお化け程度に見えた放水口の水の筋一つ一つが、実は人の背丈ほどもある事実。
巨大構造物の偉力をまざまざと感じさせられます。可能なことなら近くに寄って見てみたいですが、どうすれば良いのでしょうか。

荒々しい観光放水の一方で、黒部ダムの上面は晴天下の穏やかな休日そのもの。凪いだ湖面が深緑の水を湛えて黒い山並み、青い空との対比を彩ります。
tateyama(57).jpg tateyama(41).jpg
ダム上にはゆるキャラのきぐるみも現れて……なんか記念撮影もしていました。

黒部ダムをひとしきり観光したら、次はケーブルカーで黒部平駅。前回は雪と雨に閉ざされていましたが、季節が巡れば蝶と高山植物の宝庫です。
tateyama(65).jpg tateyama(68).jpg
黒部平駅一帯は駅施設と高山植物園から構成されています。
高山植物園はその名の通り、様々な花や蝶を観察することができるのですが、特に薄い水色と茶色に彩られた大きな蝶がよく目について気になります。
案内板曰くアサギマダラという種類なのだとか。上高地に行ったときも見かけた気がしますが、Wikipedia曰く「標高の高い山地に多く生息する」とのこと。なるほど、然りです。
他にも「写真のほか何もとらない、足跡のほか何ものこさない」と標語が書かれた看板も、文言の簡潔さが印象的です。重箱の隅なことを言えば、足跡も残さない方が良いのですが……自然観察では大事にしたい心がけですね。
tateyama(81).jpg tateyama(84).jpg
黒部平から次の大観峰駅はロープウェイで一飛び。大観峰駅、何度見ても何故そこに駅を作ろうと思ったのか不思議なほど、絶壁に張り付くその立地に驚かされます。

大観峰駅は軽く見物して通り抜けて立山トンネルトロリーバスを室堂まで行けば、この日の目的地は着いたも同然です。
夏日快晴の室堂平は絶景の一言、他に何の説明も要りません。
tateyama(107).jpg tateyama(128).jpg
みくりが池に立山の山並みが映り込む様は、パンフレットで憧れた高山の景色そのままの息を呑むばかり素晴らしさです。
このまま永遠に眺めていられそうな絶景のなかを、何者にも煩わされず歩けるのですから幸せそのものと言っても過言ではないでしょうか。
tateyama(153).jpg tateyama(157).jpg
室堂平から遊歩道を経由して、東側に雷鳥沢という広い谷へ向かいます。その谷の陰の辺り、圏谷の絶景を正面に見据えた立地に、この日泊まった雷鳥沢ヒュッテがありました。
お宿は嬉し恥ずかしの山小屋初体験。大部屋に布団を敷いて寝る雑魚寝スタイルや、充電用のコンセントがないこと、電波もあんまり入らないこと……などなどと山の宿の洗礼に最初は面食らいましたが、慣れれば面白いものですね。
立山を真正面に望める温泉があり、絶景を眺めながら一日の疲れを癒やせたときは、これだけでこの週末は報われたと言い切れるほどの贅沢を感じました。

山小屋での夕食後は茜色に染まる立山を望んでいるうちに夜に。欲を言えば少し足を伸ばして、夕陽の映える景色を撮りたかった行きたかったのですが、刻一刻と変化していく絶景を前に、部屋に戻って装備を整える時間すら惜しく感じてしまいました。
tateyama(192).jpg tateyama(223).jpg
ひとまず部屋に戻り、夜半に再び外へ出たのは星を観るため。予期してなかったのですが、右側に仄かに光る雲のようにそれは、恐らく天の川。
写してから気付いたので、驚きと興奮でテンションは高まるばかりです。肉眼では残念ながらよく見えなかったのですが、写真で知ってる光景と同じものを、自分でも撮れたことの喜びは一塩でありました。


斯様な次第で早寝早起き、21時には寝付いて5時過ぎには起床し、6時の朝食を摂ったら日曜日はいよいよもって立山目指し出発です。
tateyama(240).jpg tateyama(245).jpg
日の出後も山の陰にあたる雷鳥沢は薄暗い日陰の様相ですが、気にせず出発してキャンプ場の真ん中を経由し浄土沢の筋を目指します。

この日の登山経路はガイドマップにもあまり載っていない通称「神の道」と称される浄土沢沿いに一ノ越まで上がっていく登山道です。
地図に道筋こそ載っているものの、あまりにも案内がないので不安に思っていたのですが、現地で聞いてみると余裕をもって歩ける道になっているとの情報。
「キャンプ場を過ぎて、浄土沢の橋を渡ったら右側へ」と経路の入り口に関する説明こそ、少し心もとないですが大丈夫。この日は見通しの効く天気だったことも幸いして、迷わずに目的の道を見つけることができました。
tateyama(250).jpg tateyama(256).jpg
案内板が壊れていたことだけは……少し不安になりましたが。

立山登山の主要ルートは、室堂のバス停付近から真っ直ぐに一ノ越と呼ばれる立山と浄土山の鞍部に至り、そこから稜線沿いに頂上を目指すもの。もう一つに、雷鳥沢から別山や剣岳のある方面へ斜面を登り、稜線沿いに立山に至る経路です。
浄土沢の登山道はちょうどその中間、雷鳥沢から一ノ越方面へ谷を遡り、途中で室堂からの経路に合流するものです。雷鳥沢まで来たものの、圏谷を大回りするような稜線巡りに付き合うほどの自信がない人にうってつけな短絡ルートになります。
谷筋なので雪解けが遅いのと沢越えがあるのが難点でしょうが、この季節なら高山植物が美しく傾斜も穏やかな、まさに浄土のごとき道のりとなります。
tateyama(270).jpg tateyama(292).jpg
日陰ながらも気持ちのよい道程。何も言うことはありません。ただ、淡々とせせらぎに耳を傾けながら登るのみです。

一ノ越まで至れば日陰を脱して、高山らしい透き通った強烈な日差しが急激に差し込みます。
ここで一休みして、水分補給やトイレを済ませたら、いよいよもって立山の頂へがれ場を一直線に上がるだけです。
tateyama(333).jpg tateyama(345).jpg
見るからに急傾斜、簡単に崩れて小石が降ってくる物騒な道程ですが、ここまで来たらワクワクが止まりません。標準的には1時間ほどの道程を、標準通りに1時間ほどかけて登れば、ついに目的地の立山は雄山の山頂に鎮座する雄山神社です。
頂上付近には休憩小屋も兼ねた社務所があり、神職さんや巫女さんも駐在してお守りや御朱印から豚汁にビールまで売っています。
tateyama(359).jpg tateyama(380).jpg
真の頂上へは登拝料を払うと入ることができますが、合わせてちょっとしたお祓いもしてもらえます。
お祓いの際には神職の方から簡単な山の解説もいただけるのですが、曰く立山は日本三霊山で唯一、他の二つの山が見えるところなのだとか。
tateyama(385).jpg tateyama(388).jpg
そうは言っても、特に富士山は条件が良くないと見えず、曇り続きの今シーズンではこれほど綺麗に見えるのは珍しいとのことでした。
掛け値なしに運が良かったと言えそうです。

ちなみに立山は正確には神社のある雄山の他に、大汝山、富士ノ折立と合わせて3つの峰の総称なのだとか。
一つ目の頂には至りましたが、残り2つも稜線沿いに40分ほど辿れば行けてしまうそうです。
この絶好の日和のもと、ここで登らずに引き返す手はないですよね。慌てず無理せず、でも積極果敢に進んでいきましょう。
tateyama(394).jpg tateyama(398).jpg
立山の最高峰にあたる大汝山は標高3015m、雄山も3003mあるそうですから、これで3000m越の大台突破ですね。
大汝山の頂からは眼下に黒部ダムのダム湖、黒部湖の全容を眺めることが出来ます。
視界の左端にチマっと置かれた板のようなものが、前日に魅入ったあの偉大なる黒部ダムです。あの現実感のなかった巨大構造物が、大自然の作りだす大きさの前には豆粒にも等しい対比になってしまうのですから、声になりません。
tateyama(410).jpg tateyama(420).jpg
信じがたいものを見た思いで頂上を後にすれば、こちらの峰の直下にも休憩小屋があります。
案内板曰く物資はヘリ輸送しているのだとか。どうやって荷物を運び上げるのかと不思議に思っていましたが、答えは存外に力技なんですね。文明万歳です。

最後の峰は最も低いのに妙に険しい富士ノ折立。皆さん揃って稜線の少し広くなった場所で荷物を降ろし、手ぶらで頂上に挑んでいたので、見習ってカメラ片手に登って撮って降りてきます。
tateyama(434).jpg tateyama(435).jpg
これにて3つの峰を登り終えたので、胸を張って立山登山したと言えることでしょう。

富士ノ折立から向こうにも稜線沿いの道は当然ながら続き、雷鳥沢に戻る経路や、はたまた立山三山の別山やかの有名な剱岳へと通じる道も用意されています。
魅惑的な天気と道程ではありますが、時間も装備も体力も流石に不足気味。調子に乗って山に呑まれては元も子もないので、後ろ髪を引かれる思いながらに引き返すことにしました。
tateyama(442).jpg tateyama(446).jpg
稜線を辿って雄山神社に帰れば、いつの間にやら登山客でごった返しています。
朝食を食べてから来たのか、はたまた麓からの初バスで来たのか、これ程の人が集まるとは流石に想像していませんでした。
お盆など立錐の余地もない状況に陥ってしまうのではと心配してしまいます。

雄山神社の売店で豚汁を食べて昼食としたら、今度は登りより危ないという下り行程の始まりです。
列をなして登る登山客を尻目に、崩れやすい足場を慎重に一ノ越へと戻りました。
tateyama(456).jpg tateyama(467).jpg
一ノ越からは道が二手に別れ、一つは真っ直ぐにバス停のある室堂へ戻る主要なルート。もう一つは隣の浄土山を経由して大きく巡りながら室堂へと降りるルートです。
大回りコースこそ断念しましたが、天気も時間もまだまだ余裕のあるタイミング。休憩がてらに一ノ越で経路を再検討し、少し遠回りしてみることにしました。
浄土山は立山と異なり、上までなだらかで今ひとつ頂きのわからない形をしています。頂上と思われる場所も広々とした空間が広がり、富山大の観測施設(?)なんかも立てられているほど。先程まで居た峰々とはだいぶ印象の異なる山並みでした。
それでも振り返れば、眼前には先程まで居た立山の偉容が聳え立っています。
さっきまであそこに居たのかと思うと、不思議な感慨が湧く光景。澄んだ空気のせいか、それともその巨大さのせいなのか、妙に遠近感が狂い、つい先程に2時間掛けて歩いた道程のはずが、一っ走りすれば行けてしまいそうな気がしてしまいます。
「目の前に山があったから登った」といえば、登山好きの狂った感覚を端的に表す小話のようですが……こうやって手の届きそうな明瞭さで頂上を示されれば、その気持もわかってしまいそうな光景でした。

そんなこんなで浄土山を越えて、眼下に室堂平が見えてきたら山歩きも終りが近いです。
tateyama(515).jpg tateyama(531).jpg
整備された遊歩道に戻ってきたら、気分は下山したも同然の一安心感。改めて周囲を見渡せば、数時間前まであの峰々に居たのかと、近いような遠いような不思議な気分になります。

無事に平野にたどり着いたら、最後の仕上げに前回は雪の下に隠れていた立山室堂を見学。この立山室堂は室堂平の名前の由来ともなった現存最古の山小屋として重要文化財指定されているのだとか。
中は簡単な資料館として見学可能な施設となっており、往古の山小屋の構造や立山信仰について学ぶことができます。
tateyama(532).jpg tateyama(540).jpg
隣の室堂山荘の食堂でカレーを食べたら、下山客でごった返すバスに乗り込んで富山駅を目指すのが最後の難所でしょうか。
継ぎ目なくやってくる高速バスよりも、その乗り継ぎ先、美女平から立山駅へと下るケーブルカーが大変だったことだけを特筆しておきましょう。

無事に富山駅まで戻ったら、駅前の飲み屋さんで新幹線の時間まで富山の幸を堪能して、関東へと戻ることになりました。


月曜は幸いにも夕方からの勤務だったので、午前中はぐったりと体力回復に充てて午後に出勤。
出張先での肉体労働、頭を使わないので次の目的地探しで頭はいっぱいです。

内臓過負荷のお盆休み

相も変わらずの出張続きから、11日の早朝に発って自宅にタッチ・アンド・ゴーしつつ始まったお盆休み。

3日間のコミケと、その後の長野観光。なかなかに類を見ない弾丸行程に、すっかり疲労が溜まってしまいましたが、どうにか生きているので覚書を残しましょう。


出張先から渋滞をすり抜けて自宅に帰り、小一時間ほどの準備を経て出立したコミケ初日。
出足が遅れてしまいましたが、11時半頃には毎度お馴染みの有明に到着です。
国際展示場の駅前ロータリーに、ビックサイト方面へ向かう想定外の待機列が形成されていましたが、少し進んでロータリーを抜ければ列は解消。
なおさらに不思議を感じる待機列でしたが、何はさておき想定通りに待ち時間皆無で入場です。

今年の夏はビックサイトの工事の影響で、薄い本は東ホールに集中。
下調べの時間もなかったので、大雑把な巡回となってしまいましたが艦これ島や東方島の類を巡ってお買い物です。
合わせて、天野しきさんはじめフォロワーのサークル主諸兄も巡回、先日の河口湖で購入したご当地キャラメルをばら撒いて過ごします。
午後からは、友人の“えめろん”氏が来たので彼を案内したのち、近場の飲み屋さんで一息。
閉会の時間も近付いたので、ビックサイトを離脱してエメロンとも別れ、高校の友人らと合流し小振りな同窓会をして夜を過ごしました。


鉄道・ミリタリーがやってくる2日目も、前日の影響で少し遅めに実家にて起床。
11時頃に会場に到着し、前日に引き続きキャラメルをばら撒きつつお買い物。鉄道島やメカ島は見るものが多くて良いものです。
半月クラスタの和泉冴さんのところで暫く管を巻いてから、フォロワーのつぼっちさんと合流しカフェでお茶の時間に。
買い物しに来たのだか、交流しに来たのだか、酒を飲みに来たのだか……ここ数年来の葛藤ですが、楽しいことが一番ですから仕方ないですね。
夜は夜で大学の友人・先輩連中の誘いに乗って、秋葉原で飲み会となり、再び実家へと帰りました。


そんなこんなで瞬く間にエロ本が飛び交う最終日。
前2日間はお盆としては珍しく涼しい日々が続いたのですが、最終日は流石に晴れ間が見えてしまい気温も高めで過酷な環境に。
創作島初め、買いたい場所も多くありましたが、会場入りしたのはやっぱり11時頃です。
このくらいが待機列も捌けて、飲み会混じりの連日参加でも耐えられる夏のボーダーラインといった感覚。
買い物が一段落したら、フォロワーの優月さんと合流して昼食を取ってもうひと踏ん張り。最後の落ち穂拾いにと創作島を巡ってから、大学院時代の友人と合流して大崎にてビールを飲み実家に帰りました。


そんなこんなで押し切ったコミケ3日間から一転して、月曜の朝は少し早起きして中央線の特急に乗車。
満員の自由席に立って耐えて塩尻まで。ここで大学時代の友人連中と合流し、長野人の車に乗ってさらに北西方向へ向かいます。
安房峠方面へ向かう道から、途中で分岐して沢渡温泉一帯の駐車場に車を置いたら、さらに少しだけタクシーで先へ。
行って来たるは穂高岳の袂、景勝地と名高き上高地です。
最も下流側の大正池付近で下車して、ここからは上流方向へトレッキングの時間です。
IMGP9002.jpg IMGP9013.jpg
山頂の露頭した活火山の焼岳、鏡のような水を湛えた沢や池の数々。噂に違わぬ美しい景色です。
加えて自然豊かな高原地帯、周囲の森に目を向ければ様々な昆虫達も。
羽を喰われながらも、華麗に飛び回るキレイな模様の蝶もいました。
IMGP9020.jpg IMGP9034.jpg
一方で、川筋に戻れば枯れ木が川面から立ち上がる不思議な光景も。大正期に焼岳が噴火したとき、川を堰き止めて池を作り木々を枯死させてできた光景なのだとか。
斯様な次第で森林散策を続けたまま、何度か写真で観たことのある河童橋へ。
ここで写真を撮ったり、昼食を補給してしばらく過ごしたら、さらに上流の明神池の方向へ行きました。
IMGP9092.jpg IMGP9104.jpg
河童橋から明神池までは小一時間ほど。着いてから知ったのですが、明神池は穂高神社奥宮の御神域。池に臨むには拝観料が必要です。
社務所にて御朱印授与と併せて払い、社殿の裏手へと回れば、すぐに池の畔です。
明神池からは透き通った浅く鏡のような水面越しに雄大な明神岳の山容が望まれ、曇り空でも十分に神々しい光景です。
快晴の日など、如何程の絶景になることでしょうか。深山を分け入った先とは言え、最奥でもない土地に穂高神社の奥社を建てた理由もわかるような光景でありました。
IMGP9120.jpg IMGP9142.jpg
――が、そんな感動もつかの間。河童橋近くのバスのりばまで戻ってみれば、驚くほど長いバス待ち行列……。
タクシーの列も同様に長く、正直お盆時期の混雑を侮っていたと言わざるを得ません。
とは言え、他に足もないので、友人連中と雑談でもしながら待つより他なし。小一時間ほどと、思ったよりは待たされずに乗れたので、良しとしましょう。

車に辿り着いたら、中央道を下って長野人の実家のある飯田まで向かい、彼の実家で夜の宴会。
翌日の15日にかけて、素晴らしい歓待を受けて神奈川に帰ることになりました。


そんな次第で、見事に反動を喰らったお盆休みの最終日16日。
コミケ3連チャン(+飲み会)からのトレッキングと大量の酒ですから、効かない訳がないですね。
何とはなしに体調不良のまま、実家でゴロゴロしているうちに一日が過ぎてしまい、日が暮れてからは内房を経由して再び出張先へ。
未だ半分はお盆気分の町で、大過なく2日間の出張をこなし、どさくさ紛れには宿近くの飲み屋さんとすっかり顔なじみになれたのが、良い息抜きと言ったところでしょう。
ようやく平穏な週末に戻ってきたところで、今となります。
幸か不幸か、今週末は目立った用事もなし。積み上がった荷物とタスクとコミケの戦利品を片付ける頃合いかなと感じるところです。

立山連峰横断の話

資格試験に追い立てられて、思うところが多々ある今日この頃。
その向こうには出張案件の影もちらつき、遠出もままならぬ日々が続く予感が重なります。
色々と投げ出したい衝動に駆られた果て、思いつくがままに宿を予約し高いところへ挑んでしまいました。


土曜日、朝は5時に起きて電車に乗り込み千葉駅から特急へと乗り換えます。
6:38発のあずさ3号、またの名を千葉あずさ。首都圏の東縁千葉駅から新宿を経由して長野の北辺、南小谷駅まで走り抜ける狂気じみた長距離特急です。
以前から乗ってみたかったのですが、この機に使わない手はないことでしょう。
2017_06@アルペンルート003 2017_06@アルペンルート007
今回は経路の都合上、途中の信濃大町駅で下車しなくてはならなかったのですが、それでも随分と楽ちんでした。
いずれ、南小谷駅までも行きたいですね。

信濃大町駅からは路線バスに乗り込み、立山黒部アルペンルートの長野側の玄関口、扇沢駅へ向かいます。
2017_06@アルペンルート009 2017_06@アルペンルート012
既に小雨がちらつく不穏な天気のなかですが、ここから関電トンネルトロリーバスに乗り込み黒部ダムを目指します。

車内で流れるトンネル打通の歴史案内に耳を傾けながらバスに揺られていれば、噂の黒部ダムには比較的すぐ到着。
途中、赤沢岳の下辺りで富山県に入ってしまいます。
アルペンルートというと富山長野をつなぐ山岳路線といったイメージですが、長野県部分はほんの一瞬しか無いも同然なのですね。
それはそれとして黒部ダムは何度見ても圧倒的な大きさです。
2017_06@アルペンルート042 2017_06@アルペンルート073
もっとも、降ったり止んだりの天気に、オフシーズンで観光放水も無し。偉大なるダムの大きさに感銘を受けつつも、雨の合間を縫ってダムを渡り次の乗り物へ急ぎます。

次は黒部湖から黒部平まで、ケーブルカーであっと言う間です。
2017_06@アルペンルート084 2017_06@アルペンルート095
黒部湖と長野県境の赤沢岳を望む小さな平地。雲に覆われた山並が雄大です。
展望台から逆側、アルペンルートの進行方向を見やれば、立山連峰の岩肌に張り付くような大観峰駅も望めます。
一体全体、誰が何を思ってこんなところに駅を拵えてしまったのでしょうか……狂気を感じる険しい立地です。
2017_06@アルペンルート098 2017_06@アルペンルート121
この頃から風も強くなり、ロープウェイ内では散々に煽られ揺れる有様。
ふらふらしながら大観峰駅に至る頃には、雲も私を出迎えに降りてきて、外は真っ白な霧の世界に陥っていました。
斯様な状況で狭い駅構内に長居も無用と、次いで乗ったは立山トンネルトロリーバス。
連峰主峰、雄山の直下をくぐり抜けて、アルペンルートの最高点、標高2400mの室堂に到着です。
2017_06@アルペンルート127 2017_06@アルペンルート140
室堂の駅はアルペンルートのハイライトであり、雄山登山の玄関口でもあって充実の設備です。
建屋内で一式揃い、直結のホテルもある大規模なもの。最上階には、かつて雄山山頂にあった江戸時代の雄山神社峰本社の社殿も展示してあります。

しかして、この日の私の宿も、この室堂駅から歩いて10分ほどのところにあるのですが……。
2017_06@アルペンルート146 2017_06@アルペンルート149
びっくりするほどの視界不良と土砂降り、さらに足元は一面の銀世界。6月でも冬のようとは聞いていましたが、よもやこれ程までとは思いもよらぬ有様です。
しばらくは駅の建屋内で様子をうかがっていたのですが、最終的には意を決して宿へ向かい踏み出すしかありませんでした。
雪原に目印のごとく連なるポールを頼りに、横殴りの大粒の雨に耐えながら歩くこと10分ほど。
この旅のハイライトと言っても過言ではないほどの鮮烈な経験です。
道はあっているのだろうか、距離は後どれ程なのだろうか……いろんな不安が去来しながら歩み、宿の影が見えたときには心から安堵しました。
本当に、この時ばかりは冬山の恐ろしさの片鱗を味わった気分です。

そんな訳でいまだかつて無い苦労をして辿り着いたのは「日本一高所にある温泉」みくりが池温泉です。
室堂平、みくりが池の傍に佇む山小屋兼温泉宿といった風情のお宿です。
2017_06@アルペンルート154 2017_06@アルペンルート164
名前の通り、温泉です。散々寒い目にあいましたが、温泉に浸って一息ついたらビールを飲んで、もう幸せのできあがりです。
場所柄、素泊まりの選択肢はなく1泊2食付ですが、夕飯も朝食も非常に美味で文句のつけようがありませんでした。

晩御飯後は宿泊客は早々に就寝の体制です。
登山といえば明け方からの活動が多いからでしょうか、21時を過ぎればすっかり静かになってしまいます。
かくいう私も早めに寝たのですが……ふとトイレに見を醒まして窓を見やれば、月が明るいです。
すわ、これは満点の星空かと外に飛び出せば、煌々と輝く満月が東南の空に登っているではないですか。
その明るさときたら、私の影が地面に映し出されるほど。天体観測には支障をきたすレベルですが、これはこれでまた風情があります。
2017_06@アルペンルート221 2017_06@アルペンルート235
西側には遠くどこかの町の夜景が望見されます。確信はもてませんが、方角的には富山か高岡でしょうか。
眠気と寒さをこらえながらも、しばし夜の散策と撮影に勤しんでから、再び布団に帰りました。


翌朝は室堂平に日が昇る明け方5時過ぎに起床です。
東側に立山を控えるココでは、地平線上の日の出から実際の日の出まで1時間ほどの時差があります。
ただし、空が黄昏色に染まるのは地平線における日の出の時間帯のこと。単純な話ですがすっかり失念していたため、起きて外を見たら青空が広がっていたときは、何が起こったかと一瞬悩んでしまいました。

閑話休題、朝食を取ったら2日目の行程にいざ出発です。
2017_06@アルペンルート296 2017_06@アルペンルート350
あわよくば雄山の山頂も狙えるかと思っていましたが、外に出て少し散策すれば、それがいかに無謀であるかが理解できます。
澄んだ空気のせいか、ちょっと行けばたどり着いてしまいそうなほどにはっきりと見えるその頂も、道程は一面真っ白な雪化粧です。
服装だけならいざしらず、足元の装備が心許ない状況でこれに挑むのは身の程知らずにも程があるというものでしょう。
2017_06@アルペンルート374 2017_06@アルペンルート382
しばらく室堂平の雪原散策を楽しんだら、ふと大観峰駅まで引き返して赤沢岳の山並みを拝むアイデアが降って湧いてきました。
思いついたら、居ても立ってもいられないのが性分。室堂駅から往復のきっぷを追加購入して、今一度の大観峰駅です。
2017_06@アルペンルート386 2017_06@アルペンルート403
目論見通り、そこには澄んだ空気でくっきりと姿を表す青々とした奥立山連峰の山並みがありました。
土曜日はそれどころではなかった立山側の急傾斜も落ち着いて眺めることができます。
改めて見ても、ここに駅を作ったのは狂気と言わざるをえないでしょう……。

大観峰から再び室堂駅に戻ったら、続いて“雪の大谷”も見物です。
毎年、4月の半ば頃に立山の風物詩として報じられる、あの雪の谷間をバスが走り抜ける道。写真や映像ではしばしば目にしますが、本場では6月でもお目にかかれるとは知りませんでした。
2017_06@アルペンルート422 2017_06@アルペンルート433
特に今年は雪が多いとかで、例年よりも高い壁が拝めます。加えて前日の雨で綺麗になった雪面と、雪の白がよく映える青空、6月には望むべくもない好条件が揃ったとかで、なんと運がよいことかと日頃の行いを自画自賛したくなります。

しばらく雪の大谷を散策して飽いたら、いよいよもって室堂を後にして下りの行程へうつります。
ギリギリまで最高点に居たい思いもありますが、寄り道もきっと楽しいはずと、悩んだ末にだいぶ後ろ髪を引かれながら、富山方面へ向かう路線バスに乗り込みました。

乗り込んだと言っても終点まで直行せず、途中の弥陀ヶ原でバスを降りて散策へ。
初夏になれば湿原が広がり、素晴らしい眺望が――とパンフレットには書いてあったのですが、どうやら初夏というには早かった模様。バスを降りても湿原ではなく雪原が広がる様には、早まったことをしたかと焦りの念が生じます。
しかしながら、湿原はなくとももう一つの目的地へは行くことができる様子です。
2017_06@アルペンルート463 2017_06@アルペンルート464
立山は室堂平から南西側に、大地が大きくえぐれた立山カルデラと呼ばれる一帯があります。
これを一望できる展望台があるとのことで、是非とも見たいと散策に挑む次第です。
昨日に続いての、ポールだけが頼りの雪中行軍。雪山を舐めているとの誹りは免れない気もしますが、大学時代だったらもっと気楽なスニーカーで突っ込んでいたレベルの道程でしょう。
2017_06@アルペンルート467 2017_06@アルペンルート476
15分ほど登れば道が途切れて、急な斜面に行き当たります。
この巨大な谷間こそが立山カルデラ。日本海屈指の暴れ川、常願寺川の源流にして終わりなき砂防工事が続く大崩落の現場です。
少し目線を上げれば白山まで望見できる好条件のもと、雪渓と青山と青空が織りなす雄大な景色に息を呑むばかりで、先程の焦りも何処かへと飛んでいってしまいました。

立山カルデラを眺めながら一息入れたら、続行のバスで終点美女平まで下ります。
途中、日本一の落差を誇る大瀑布、称名滝の前でバスが徐行してくれるイベントなどを挟みつつも、終点へ。
美女平まで下れば雪はすっかり姿を消してしまいました。
2017_06@アルペンルート560 2017_06@アルペンルート566
美女平からはケーブルカーに乗り換えればアルペンルートの終点、立山駅に至るのですが……ここまで来て寄り道しない手は一切ないでしょう。
一山登り終えて帰路を急ぐ人波から外れ、探勝歩道へと足を踏み入れます。
高所の雪山とは一点、そこは初夏の高原の森林です。こちらの方が今の季節らしい風景でしょうか。人も少なく実に快適です。
2017_06@アルペンルート575 2017_06@アルペンルート592
この一帯は立山杉の産地だとかで、巨大な杉の木が方々に聳え立っています。
豪雪地帯なせいか、奇妙な曲がり方をした木も散見され、不思議な森に迷い込んだかのような感覚に陥りながらも、思いがけず緑を満喫する機会となりました。

駅に戻ったら、いよいよもって観念して最後の乗り物、ケーブルカーで麓の立山駅にいたり、アルペンルートの行程は完遂と相成りました。
2017_06@アルペンルート623 2017_06@アルペンルート627
山小屋風の駅では冬山装備のレンタルも行っているようで……こちらに先に来ていれば、あるいは雄山に挑めたのかもしれませんが、過ぎてしまっては詮無きことです。

ここからは富山地方鉄道に乗りかえて、順次富山駅へ向かいます。
2017_06@アルペンルート655 2017_06@アルペンルート674
もちろん、直行とは言わず途中の岩峅寺駅で途中下車。この駅も含め、富山地方鉄道は驚くほどに風情ある田舎のローカル線です。
なかでもこの岩峅寺駅は立派な外観ながらも歴史を感じる趣に、映画“点の記”でもロケ地にされたのだとかなんとか。
静かに放っとくのが勿体無いほど、田舎の良い部分を絵にしたような光景の駅です。

しかし、駅が格好いいだけで下車するほど、時間に余裕がある訳ではないので、この駅で下車したのもちゃんと理由があります。
駅から歩いて10分ほど、駅のある岩峅集落の外れに鎮座する雄山神社の前立社壇に参拝です。
2017_06@アルペンルート686 2017_06@アルペンルート689
雄山神社は立山の主峰雄山の山頂を峰本社とする越中国一宮、その里宮にあたる社がこの前立社壇になります。
本来であれば峰本社も参拝したかったのですが、先の雪山状況に加えて、そもそもが夏季7~9月しか参拝受付していないのだとか。どちらにしても訪れようがなかったそうですから、里宮だけの参拝になってしまったのは仕方ないことでしょう。

次は山頂への参拝を祈願したら、駅へ戻り、今度こそ富山駅へと向かいました。

締めに富山駅ビル内の居酒屋さんで地酒を飲みつつ指定券を取った北陸新幹線を待って、帰路へ。
1泊2日の行程にしては、思った以上に要素を詰め込んだ充実した旅は3度目の北陸新幹線で締めて終りとなりました。


斯様な次第で非常に楽しんだのは良いのですが、山歩きは全身運動……せっかく復調してきたのに、また全身筋肉痛です。
運動不足がたたっているのでしょうか、世話ない話です。

 | ホーム |  »»

カレンダー

« | 2017-10 | »
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

中の人について

molmol

Author:molmol
連絡先:aria_freak@ホットメール、mixi


社会的圧力に負けて働き始めた巫女好き提督。2年かけて回復したSAN値を瞬く間に失い、工場街のおんぼろアパートでサバイバルなう。

何かにつけて神頼みする近所のお稲荷様に感謝

個人的リンク

私が勝手に(無断で)貼ったリンクもあります……。 どうか、ご配慮願います。

分類……してないなぁ?

"兵站"内の探し物はこちらへ

月別ログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2Ad