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月曜備忘録

東奔西走したり、近場をさまよったり、お家でぐったりしたり……週末の所業や所感を記録する場所(旧名:兵站の鬼を目指して……)


まちかど盆休み

台風が直撃したかと思えば、記録的な酷暑にも見舞われ、大概に過酷となってしまった8月半ばの週。
毎年恒例の夏の惨劇、コミックマーケットにお盆休みも連なって、10連休を強奪です。

10日間、過酷な暑さと人波に翻弄されて、何をしたのかしてないのだかと考え込む日々でしたが、備忘録はまとめておきましょう。


そんな訳で休みの初日は世間一般より一足早めな9日金曜日から。
4日間開催となり、会場構成も変化したコミケの第1日目となります。

当然のごとくゆるりと起床して、コミケへ行くのですが、実際のところ目当てのサークルなど数えるほどのこと。
11時過ぎに着いて、13時頃には同人エリアを撤収です。

ただし、今回のコミケはいつもと構成が違います。いつもの“逆三角形”の下で開催されるのは同人誌を頒布する方です。
企業ブースは一駅隣りの東京テレポート駅横、青海展示場での開催となります。
せっかくなので、初めての青海展示場も見物です。
手ぶらで帰る気も毛頭ないので、最近お気に入りのVtuber“ウェザーロイド”のTシャツを購入して、お買い物終了としました。

買い物の後はフォロワーの優月さんと合流して一献です。
天王洲アイルのクラフトビール屋さんで軽く呑んで、別件のため解散といたしました。

解散後は別のフォロワー、Aliceさんと飲むために新橋へと向かう段取りでしたが、先方に少し用事が入ってしまったようなので隙間時間が発生してしまいました。
2時間ほどの空きだったので、向かうは品川駅近くにあるアクアパーク品川で時間つぶしです。
以前、目の前まで行きながら立ち寄る機会が無かった都会の水族館です。

流石に都会的と言うべきなのか……博物館や動物園の延長としての水族館というより、魚で魅せるテーマパークといった印象の施設です。
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それでも、イルカのショーやのっぺりと沈むノコギリエイを眺めながら過ごしていれば、ちょうどよい時間調整となりました。

その後は無事にフォロワーのAliceさんと合流し、新橋の沖縄料理店で夏らしい泡盛を舐めて夜を迎え撃ちました。


特段に狙い目のサークルもないコミケ2日目も、昼過ぎからゆらりと散策。
前日のうちに企業ブースは巡ってしまったので、この日は国際展示場周辺をぐるっと回ったら撤収です。

友人の“えめろん”が都内に来ているとの情報をキャッチしたので、そちらに合流する段取りとなりました。
ただ、この日も少々タイムラグができてしまったので、以前からコミケとのコラボイベントに力を入れているという大崎駅へ行ってみることに。
話には聞いていましたが、改札前の通路でミニ同人誌即売会を開催したり、ビールを振る舞ったり……。
公衆の往来という立地上、二次創作やアニメ系の絵柄はあまり見掛けませんでしたが、評論島がゲリラをしているような出展状況で、思った以上に面白いイベントでありました。
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しかしながら、これでも時間が余ってしまったので、さらにもう人足伸ばして早稲田のイズモギャラリーなる展示場へも行ってみます。
こちらでは、このコミケの時期に「全日本幻想入り展」なる東方関連の写真展を実施していました。
コンセプトは実際にある“幻想郷への入り口”を撮るというもの。どうしても幻想的、あるいは不穏な雰囲気を孕んだ写真が多めです。
もっとも、もともとそういう写真が好きな性質でもあるので、様々な人が感じる“幻想郷的な写真”のバリエーションを楽しむことができました。

散々に都会を味わった頃合いで、ようやくえめろん氏と合流し、新宿のビアバーで軽く呑んでお別れです。
実に一瞬の出会いと別れ、実際問題のところ近くにいるから次の約束までの間でちょっと会おう、そういったレベルの話でした。

そして、その次の約束は高校の友人連中との宅飲み会です。
毎度年末とこのくらいの頃合いに開催される、高校時代のよく会う面子でのパーティーとなります。
いつものように集まって、いつものように何をするでもなく人の家を散々に言って、駄弁って、去ることになりました。


そうこうしている間に、コミケは半ば本番と言っても過言ではない3日目です。
例年通りであればこれが最終日ですが、今年は何故か最終日ではありません、不思議ですね。
それでも流石に、評論や創作が来ている日なので、寄るべきところは多いです。

そしてまた、前2日間が少し空き目だったことから油断してしまい、少し寝坊気味に11時半頃に着いたものの、見事に待機列へと引っ掛かってしまいました。
いやはやコミケ“3日目”の魔力は恐るべしです。
列など捌けているだろうと油断して、飲み物と帽子くらいしか用意してなかったのですが……茹だる陽光のもとに、面白いほどに汗が流れ落ちていってしまいました。
油断大敵とはまさにこのこと。熱中症の驚異が具体性を帯びる寸でのところで、会場内へと入ることができました。

その後の買い物自体は比較的順調なもの。トントン拍子で巡り終えたら、偶然合流したヘク猫と一緒に撤収し新橋駅の中華で遅めの昼飯を摂って別れました。

別れた後は、この日もまたもや飲み会の日。大学院時代の友人と秋葉原で合流して、日本酒を飲み散らかしながら近況を報告して夜になりました。


そんなこんなもそんなこんなで、最終日となるコミケ4日目! そう4日目です、驚くべきことです。
この日も前日に学んで、少し遅めの入場を狙います。
心なしか例年のこの時間よりも混雑気味な列車に揺られて会場に至ったら、評論島と創作島を中心にいろんな本を買いましょう。
色んな本です、みなまではいいません。

買い物のあとは、南館内で和泉冴氏と合流して閉会まで時間潰し。4日いて1日だけでしたが……閉会の拍手を聞いてから、会場を後にしました。

閉会後は一旦、上野へ向かい「三ツ星カラーズ」のパネルを元下宿生と見て回ってから、恵比寿へ。
大学時代の友人連中と暑気払い(?)に、エビスビールのお店ではしゃいで実家へと帰りました。


斯様な次第で、流れるように過ぎ去ったコミケの4日間から、一転して、13日の火曜日からは親の実家があるしぞーかへ帰省です。

従兄夫婦と従姉夫婦が子連れで来ているということで「親戚の謎のおじさん」を演じに行かなければなりません。
結果から言えば、コミケによる猛暑4連続ですっかり体力を消耗している有様。
日中はゴロゴロして、夕方からお酒を飲むことしかできない、やべーやつに成り果ててましたが……これはこれでありなのかもしれないと自分に言い訳をしているうちに、16日の金曜日になってしまいました。

この間、能動的にやったことと言えばオハギを買いに行くことと、庭でBBQ用の火を焚くことくらいでしょう。
本当に……本当に弱ってしまったものだと嘆息してしまいます。


斯様な次第で、コミケとしぞーかごろごろでほぼ外出もせずに使い切ったお盆休み。
流石に何も出先がないのも寂しいと思い、心機一転の土曜日は少しだけお出かけです。

金曜のうちに神奈川の実家に戻り、土曜日は八高線を乗り継いで高麗川駅へ。
ここから歩いて15分ほどの古社、高麗神社へと行ってきました。
高麗神社は、その名が示唆する通り朝鮮半島系の祖神を祀った神社です。
史書に曰く、高句麗の滅亡後にその遺民が日本へ渡来してきます。
技術を持った異邦人達に、当時の朝廷は未開の地であった武蔵国の高麗郡を与え、開拓させました。
このとき、郡司に任ぜられた高句麗王族の末裔を、この地域の祖神として祀ったのが高麗神社だそうです。
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創建は未詳ながら、高麗郡の建郡が1300年程前のこと。1000年以上の歴史がある由緒ある神社です。
武蔵野の西縁、高麗川と挟まれた丘陵地帯の袂に立つ立地も歴史を感じさせますが、境内自体はよく整備されて広々とした明るい印象を受ける神社でした。

神社の参拝後は裏手にある国指定重要文化財の高麗家住宅を見物してから、丘陵の縁沿いにぐるりと巡ります。
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途中の登山口から、丘陵地帯の先鋒に位置する山の頂上を目指して、少しだけ山歩きの練習をしました。
登ってきたのは一帯を一望する象徴的な山、日和田山です。
標高300m強、30分ほどで登れてしまう小高い丘ですが、関東平野を一望できる眺望は悪くありません。
また、ヤマノススメでも山登りの練習として登場しますし、酷暑に参った体を動かしてみるには丁度いいくらいの山道でした。
天気も良好、霞んで遠くまでは見通せませんでしたが、夏山を感じられただけでも良しとしましょう。
次はもう少し高いところに行きたいですけどね!

下山後は近隣の日高市立の民俗資料館に寄り道してから、実家へと戻りました。


そんな次第で、お盆最終日となった18日は、翌週以降の準備に費やしてのんびりと過ぎ去っていきます。
登山道具やキャンプ道具を積み込んで、マンガを読んだりコミケの戦利品を整理したりしていれば、おしまいです。

マンガといえば、このお盆休みはひたすらに「まちカドまぞく」というマンガを眺めて過ごした気分です。
先の半月オフの際にフォロワーにアニメをオススメされてドハマリし、久しぶりに波長が合うと感じる作品。
気付けばコミケの往復の車内で原作の既刊を読み尽くしてしまいました。
しぞーかに行った後も、何かと手持ち無沙汰になれば眺めている始末です。特定のコミックをずっと眺めているなど、いつ以来の経験でしょうか……。

お盆明け、働いている間も思い浮かぶのは「まちカドまぞく」のこと。今シーズン、アニメ放送中ですが、最終回を迎えた頃にはどんな気分になってしまうことでしょうか。
そう言えば、昔は好きだったアニメやマンガの最終回は、妙に切なく記憶に残ったよな――そんなことを、今日の退勤後の夜風に、ふと思い出してしまいました。
生温い夏の夜の風は、色々と懐古的になってしまうので、体に良くないですね。

喫茶と晴天の河口湖生音

今年も説明不要の8月初週がやってきました。
前日の飲み会の二日酔いを圧して、炎天下の河口湖駅に降り立てば、そこはもう大好きな夏の始まりです。


いつもの気の抜けたアナウンスこそなかったものの、河口湖駅の見慣れた横断幕を目にすれば、それだけで何か安心してしまうものがあります。
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中央線の道中で合流した朔さんと、河口湖駅の売店で昼食をとったら、近隣のスーパーで買い出しです。
買い出し中にこの日の同行者の1人、一条高雪さんとも合流したら、いつものあのキャンプ場でコテージに拠点を設営します。
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もはや実家以上に見慣れた“夏の原体験”です。河口湖対岸の山並みも、湖水を駆け抜けるモーターボートも、何一つ変わらないようで安心してしまいます。

設営を一頻り終えた頃合いで、元寮生とも合流したら、この日の参加者は全員集合です。
クラスタも繋がりもバラバラですが、適当に河口湖に誘って集まった混成4人組で、今年の河口湖の茅原実里を迎え撃ちに行くことになりました!

お馴染み半月クラスタの朔さんに、大学の同級生の元寮生の二人は、去年も河口湖に参加した安定の面子です。
新たに誘った一条さんも10年以上続くみのりすとの1人。初回のサマーキャンプ以来の参加となるそうですが、10年越しの念願と言われては、こちらも誘った甲斐が大いにあると思えるものです。
そんな3人と、積もるほどの話は特に無いまま昨今のアニメの話などしつつ、ステラシアターへ向かいます。
キャンプ場からステラシアターまでは、いつもの無慈悲な炎天下徒歩行です。
歩き慣れていない一条さんには悪いことをしたかと思うものの、これもまた個人的には夏の風物詩です。汗だくになりながら、富士山へ向かう坂道をあるかないことには、夏のライブは迎え撃てませんよね。

いつもであれば開演ギリギリまで方方に寄り道するのですが、今回は物販が見たいとの希望もあったので14時過ぎにはステラシアターへ。
たまたまみのりんの記念撮影に遭遇して、みのりんを間近で見る機会にも恵まれてしまいます。
ついでに、付かず離れずの距離を保ちつつ、紳士的に動向を注視する年季の入ったみのりファンの挙動もまた、興味深く観察することができました。
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そんな訳で、多少の物販と夏の名物の桃を会場前で楽しんだら、腹拵えも兼ねて近隣の喫茶店へ行ってみることにします。
河口湖駅からステラシアターまでの道中、数件の喫茶店があることは以前より認識していたのですが、実際に入ることになるのは初めての経験です。
11回目にしての新機軸。灯台下暗しというべきでしょうか、やり尽くしたと思っていることでも注意深く足元を探れば、まだまだ未知のことが残っているものですね。
喫茶店にはコラボメニューなんかもあったりして、しみじみと堪能していればあっという間に開演時間が近づいてしまいました。


そんなこんなの茅原実里の11回目の河口湖ライブ、“Summer Champion2019”に参加してきました。
初っ端のMCから、曲目を1ブロックまるっとすっ飛ばしそうになったり、ちょいちょいすっとぼけたことを言ったりしつつも……今回のライブの肝は古参殺しのセトリでしょうか。
懐かしい曲、聴きたいと思いつつなかなか歌ってくれなかった曲がバンバン歌われ、終始ハイテンションで過ごしてしまうライブ体験となりました。
旗曲も「アイアイ愛してるよ」にアンコールでの「アイノウタ」と愛が詰まった2曲が流れますし、バンドメンバーによるリクエスト曲コーナーでも趣味の合う曲が選ばれてくれて、本当に素晴らしいセトリでした。
強いて難点を言えば、私のお気に入り“mezzo forte”が一向に歌われる気配がないことくらいでしょうか……いずれ歌う機会を信じて待ちたいものです。

そんな訳で、最後には恒例の花火で締めて、今年も良い夏ライブを満喫することができました。
そしてもちろん、ライブの後は打ち上げの飲み会です。
コテージの外テーブルに携帯用コンロを持ち出して、簡単に肉を焼いたりしながら過ごします。
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キャンプ場の消灯時間が過ぎたら、コテージ内で“灯火管制”と称してヘッドライトを装着し、室内灯は消した薄闇のままひっそりと宴会の続きを行いました。

ライブを通して打ち解けてくれた面々を囲んで、湖畔で星を見たりもしつつ、24時頃まで呑んで比較的平穏なまま就寝といたしました。


翌朝は二日酔いもなく、カップ麺で順調に朝を迎えます。
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ご飯を食べたら、次はお風呂ですね。コテージを撤収したら、今回は一条さんが車に乗ってきてくれたお陰で、趣向を変えて富士急ハイランドの方にある温泉まで足を伸ばしてしまいます。
行ったことのない温泉で、新しい景色を楽しみながら「姫カット」についての熱い講義を受けて過ごすこと1時間ほど。
じわじわと温泉も混んできたので、ほうとう屋さんへ移動して昼食を取ります。

昼食を食べ終えたくらいの頃合いで、今度は日曜日のライブ同行者、和泉冴氏も河口湖入りしたとの情報を受信します。
合流はお馴染みのショッピングセンターBELLにて。
列車の乗り継ぎや帰りの都合がある元寮生と一条さんとは、BELLの駐車場でお別れし、朔さんと連れ立って冴さんを回収します。
この面子になると、もうすっかり半月クラスタですね。

炎天下で外にいても仕方がないと、この日も14時過ぎからは開演ギリギリまで近所の喫茶店へ。
ただし前日の店とはまた別のお店です。土曜のお店がギャラリーに力を入れているとすれば、こちらはコーヒー一筋と行った印象でしょうか。
様々な産地から取り寄せたコーヒーが、それぞれに適した煎り方で淹れられています。
量もそこそこあるので、のんびり飲みながら過ごせば、開演まで退屈せずに過ごすことができてしまいました。
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そんなこんなで、外に出てみれば富士山も雲間から顔を出して、殺人的に熱い夏空です。
干物にならないうちに早足でステラシアターへ向かい、帰路につく朔さんを見送って2日目のライブ参加となりました。


この日のライブも基本的なセトリはほぼ一緒です。
途中で2曲続けてやるべきところを、途中で喋り始めてしまったり……みのりんではなくバンドメンバーが着地点を見失ったトークを披露したりしつつも、この日もまた絶好調の素晴らしい夏ライブを味わう事ができました。
今更、湧き上がる感情を表す程のレトリックを弄する気持ちも湧きません。
ただ今まで積み重ねたライブがあり、今回のライブがあって、毎回同じようで全然違う最高の夏を味わうことができました。

もはや抽象概念ですよね……何が良いとかではありません。
ライブが終わった後には、ただ期待を上回る楽しさを味わえた満足感や幸福感と、積み重ねた過去の夏がもたらす郷愁が、同時に湧き立ってきます。
幸せなのに、ふっと切なくなる、夏の夜らしい気持ちを抱えて日曜日の帰路に就くことができました。


ちなみにこの日の帰路は、冴氏の行為により冴さんの車に同乗させてもらうことができました。
帰路の経路は、中央道の事故渋滞を回避して道志みちから国道16号を経由するコース。
ゴールは八王子駅前に設定し、八王子駅近くのラーメン屋さんで夕飯を食べて、悠々と千葉行きの列車に乗ることができました。

ちなみにこの日は千葉駅近くのカプセルホテルで1泊です。
去年も同様の経路を実施し、ここも半ば慣れたコースと化してると言っても間違いではないでしょう。
隣室のうるささに少々閉口しながらも9時頃までうたた寝を貪って、月曜の午後から日常へと復帰することになりました。


さて、そんなこんなでずー―――っと行ってる河口湖。来年は流石に東京オリンピックともかぶってしまうため、一筋縄の開催とは行かない気がします。
それでも、MCにおけるみのりんやバンドメンバーの前向きな意思、そしてファンの期待度を考えれば、きっと来年もまた“何か”はあると信じたいところです。
次の夏まで、頑張らねばならない理由が、また一つできてしまいました。

夏の半月逸脱伊勢巡航

例年より遅い梅雨明けの知らせが、ちらほらと聞こえ始めてきた7月最後の週末。
どんよりとした空が少しずつ晴れ始めたかと思ったら、不意に発達した台風が令和初の日本上陸を果さんと現れ、雨降り天気に逆戻りです。
不安定な天候に一抹の不安を覚えるなかでしたが、この週末は去年に続いてツイッターの半月クラスタの伊勢オフに参加してきました。


伊勢オフ前日の金曜日は、諸々の仕事を来週にぶん投げて早めに退勤です。
土曜日の集合時間に間に合わせるため、東京まで前乗りする段取りですが、その前に少しだけ寄り道をします。

夕方に大急ぎで向かったのは木更津のイオンモールにある映画館。目的は新海誠の最新作「天気の子」を観るためです。
先週公開された天気の子、ぼつぼつと上がり始めたネットの寸評を観ていると、「ゼロ年代エロゲの映画化だ」とか「セカイ系への回答だ」とか、なかなか一部の年代にグサリと刺さりそうなことを示唆する言葉が並んでいます。
私も、完全に一致する世代ではないにしても、その残滓を大学時代に拾い集めた年代です。

これは期待できそうだと観に行った感想から言えば、まさに「ゼロ年代エロゲを映画化したかのようだ」との評は言い得て妙だと感心するばかりです。
細かいところでは色々と思うところはあるものの、総じていつもの美しい新海絵で描かれた夏と空模様とボーイ・ミーツ・ガールが詰まった物語でした。
個人的には時系列がスッキリしている分、「君の名は。」よりも好ましく感じる映画です。

そんな訳で、始まる前から夏の物語を精神に過剰供給してしまい、電車内で何度も反芻する羽目に陥りながら、終電で東京へ。
東京駅に着けば、特に食事をすることもなく、早々に駅近くのビデオ鑑賞店に転がり込んで、翌日の早起きに備えました。


寝ている間に台風が紀伊半島に上陸していた土曜の朝は、にわか雨に濡らされながら始発の新幹線へ乗車です。
名古屋からは快速みえに乗り換えて、一気に伊勢市駅へ向かいます。

10時半に宇治山田駅集合の約束ですが、伊勢市駅へ着いたのは9時半頃のこと。
少々早く着きすぎてしまったので、折角ですから1年ぶりの伊勢神宮外宮へ参拝です。
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去年は駅からフォロワーの車で移動していたため、伊勢市駅から外宮までの参道を歩くのは数年ぶりのことです。
式年遷宮の再開発を経て、少々ラインナップが新しくなった参道の商店街を眺めつつ、外宮へ。
真っ直ぐに本殿へ向かいオフ会の成功を祈ったら、踵を返して伊勢市駅から近鉄で宇治山田駅に向かい、オフ会の面々と合流しました。

ちなみに今回のオフ会のメンバーはキャプたん氏、わため氏、ぽち氏、朔氏、和泉冴氏と私を加えた6名です。
キャンプやら飲み会やらで幾度も顔を合わせた安定感のあるなじみの面々。今更改まってオフ会などと称する意味もあるのかと思いますが……ノリと勢いでも何とかなる気安さは代え難いものがあります。

そして集合して最初にやることと言えば、もちろんまんぷく食堂へ行ってからあげ丼を食べることです。
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かつて寄贈した同人誌が残っていることを現認したり、巡礼ノートが未だにひっきりなしに書き込まれていることを噛み締めたりしながら、馴染みの味を味わって腹拵えとしました。

からあげ丼に安心したら、その後は市街のアウトドア用品が充実したホームセンターを訪問です。
そう、ホームセンターです。砲台山でも、その他の半月の聖地でもありません。
かと言って、何か明確な目的があったわけでもありません。
ただ、最近のアウトドアブームに乗って来てしまっただけです。この段階から、今回の半月オフは“半月”要素が脱落し始めてきます。

ホームセンターでアウトドア用品にペットコーナー、農機具コーナーと店内を彷徨きながら、あれこれとりとめのない話をしたら、次にはもうこの日の宿へと移動します!

今回の宿泊地は志摩市にあるフィオーレ志摩という宿泊施設です。
ログハウスを借りて泊まったり、施設内でプール遊びができたり、バルコニーでBBQをしたりと、半アウトドア型のアクティビティを主眼にした施設となっています。
今回のオフ会は伊勢まで出張っておいて、聖地巡礼よりもバルコニーでお肉を焼きながらお酒を飲む方が大事なイベントになっていました!

そういう次第で、うきうきしながら施設に到着しチェックインしてみれば、そのログハウスは想定以上にお洒落な雰囲気です。
落ち着いた雰囲気の外観に、一つ一つが格好いいインテリア、大型のテレビとWifi環境も完備で、気後れするほど良い感じの内装です。
加えて、幸運にも両隣の部屋ともこの日は空室とのこと。騒音についても気兼ねする必要がありません。
これはもう非の打ち所がない宴会環境ですよね!
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早速、誰かが持ち込んだ「三ツ星カラーズ」の旗を部屋に掲げて、部屋をカラーズのアジトにしたら、近所のスーパーで食材を買い込んでパーティーが始まります。

テレビでは冴氏が持ち込んだ「GJ部」のBDを再生し、これをBGMにしながら外でBBQです。
この頃には台風も三重県を通り過ぎて消滅し、天気は曇天ながらも雨の心配をしなくて済む状況です。
まるで半月オフに合わせて現れて消えた台風だったねと、冗談でも言いながら雨より虫と戦う酒の席になります。
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適当にお肉や海鮮を焼きつつ、日が暮れるまで駄弁ったら、座を室内に移してさらに宴会は続きます。

GJ部を見終えたら、今度は上映作品を「ウマ娘プリティーダービー」に切り替えて、さらにアニメ上映会が続きます。
OPに合わせてコールをしたり、仕事のことからオンラインでは言えないツイッターの裏話、思い出話に最近のアニメ評と、割とどうでもいい話をしながらお酒を飲み、1人また1人と寝落ちしていくに任せて夜を過ごします。

ウマ娘を最後まで見れば時刻は午前5時。アニメを見て、腹の底から叫んで、気付けば徹夜なんて……まるで大学生のような所業です。
一体全体、こんな真似、何年ぶりにやらかしてしまったことでしょうか。
比較的酒量が少なかったこともあってか、最後まで生き残ってしまった私と朔さんで夜明けを確認してから、適当な寝床に潜り込む締め方など、どこかで宅飲みしたノリと何も変わりませんでした。
言葉にすれば、あまりに短い……中身の無い時間ですが、若気の至りを再演したかのようなハイテンションで楽しい一夜です。


その後、朝食だと叩き起こされたのが午前8時。
二日酔いこそなかったものの、見事に寝不足で朦朧とする頭で、朝食と片付けを済ませ、宿を出たのが10時過ぎの話となりました。

日曜日に最初に向かったのは、前夜のウマ娘の影響もあってか、宿の近場に立地する場外馬券売り場です。
半月も主人公の父親が競馬をやっていたので、実質これは聖地巡礼である――そんな、かなり無理のあるこじつけで、お馬さんを眺めたり、少々の賭博に手を付けたりして、1時間ほど過ごしました。

馬券の収支が±0になった頃合いで撤収し、少々の紆余曲折を経て、再び伊勢市街の外宮前へ戻ります。
ちなみに内宮の方は大混雑で近付けなかったために断念です。
この辺の潔い諦め方も、年季の入ったオフ会勢のいい加減さが出る感じですね。
行きたい人はいずれ勝手に行くだろうという、良い意味で突き放した距離感と信頼感のなせる技でしょうか……単に歳をとって面倒になっただけとの説もありますが、要検討です。

それはそれとして、外宮周辺では門前に近年開店した赤福の支店へ。目的はもちろん、夏の恒例の赤福氷です。
このキンキンに冷えた抹茶のかき氷を食べないと、夏の伊勢に来た気がしませんからね、外せません。
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赤福氷の後は、駅へと向かう参道の商店街を少し散策。何故か開店していた登山用品店などを巡りながら過ごして昼食とします。
昼食は参道から少し外れた伊勢うどんのお店でいただきました。
私は知らなかったのですが、どうやら有名な伊勢うどんのお店だったようで、店内には多数の色紙が飾られていたの印象深いお店でした。

うどんを食べて、大方のやることを終えてしまえば、最後は今回仕事で参加できなかった伊勢在住のフォロワーを訪ねて、彼の勤務先の喫茶店へ。
フォロワーを冷やかしながら、コーヒーを飲みつつ歓談して、17時過ぎに伊勢市駅へと戻り解散の流れとなりました。


解散後の移動手段は三者三様。
月曜に有休をとってのんびり帰る者、車で夜通し走る者もいれば、私は名古屋から新幹線で一直線に帰ります。
夕飯の駅弁を食べたら、帰路の車内で夏らしい青春ラノベ「夏のトンネル、さよならの出口」を読んで、23時過ぎに家につき、荷物を整理して日記を書き始めたら今に至る次第です。



斯様な次第で、明日は午前休を取得しているものの、午後からは普通に仕事です。現実とのギャップが辛いですね。
それでも先々週の佐渡島に続いて、今週も「夏」をひたすらに満喫した気分です。

特に景色から夏を感じた佐渡に対して、今週は新海作品にログハウスでの徹夜アニメ体験、帰りの新幹線で読んだ夏を題材としたラノベと、精神的な意味での夏を大量に摂取した気分です。
入道雲に代表される表象としての夏の光景と、他の季節にはないちょっと張り切った特別な体験の組み合わせ――どれほどの人が実際に体験しているのかは甚だ疑問ですが、多くの人が共有すると勝手に思っている夏のイメージです。

ただこの夏のイメージ、大好きなものの地味に厄介な存在でもあります。
あまりこのイメージに触れすぎてしまうと、存在しないはずの喪失感を勝手に胸に抱き、埋め合わせるために心象風景と合致する景色を追いかけたい衝動に駆られてしまいます。
この衝動はなかなか強烈で、しかも尾を引きます。「君の名は。」の後には岐阜の神岡まで走り、劇場版「のんのんびより」に至っては舞台の沖縄、竹富島まで飛んだ原動力ともなってしまいました。

今回、さらに厄介なことは「天気の子」もログハウスもラノベも、明確に見たい景色がある訳ではないことです。
明確な目的地のない旅行衝動ほど、発散の仕方がわからないものはなかなかありません。今もこのように意味のない文を日記に連ねているのが、その証左と言えましょう。
しかしながら、幸か不幸か来週は毎夏恒例の河口湖での茅原実里ライブがあります。
ある種、私の中で一番具体性を持った夏の有り様です。
心象風景を探すにも絶好のロケーション、今週の労働を無事に耐えきり、河口湖でやり場のない気持ちを発散できることを祈って、また平日が始まります。

鉄道模型と生音

どんよりとした冴えない空模様が続く中、じわじわと気温だけは上昇を始めた7月半ば。
じっとりと不快な蒸し暑さと、どんより空のコンボセットは実に頭にきますね。
加えて、今週は平日に原付きが壊れてしまい、バス通勤を余儀なくされてしまいました。
思うに任せないことが多いと、あれこれと鬱憤も溜まりがちです。
うっかり衝動買いとかしてしまうのも……仕方のないことですよね。


そんな訳で今週末、土曜日の日中は旧友のえめろん氏が都内へ来るというので、合流して新宿区の鉄道模型メーカー直営店、ホビーセンターカトー東京へ。
話としては随分と昔から知っていたのですが、なかなか訪れる機会もないまま鉄道模型から距離を置いてしまっていた昨今のこと。
色々思うところもあって、久しぶりにNゲージを眺めたくなったので、ちょうどよい機会と思い来てみました。
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直営店らしい圧倒的在庫と、貸しレイアウトの話は聞いていたのですが……実際に来てみると、店内の充実ぶりは想像以上です。
どこぞの展示会やイベント顔負けの盛大なジオラマが常設されているのですから、テンションが上ってしまうの無理なからぬことですよね。
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あれこれ眺めていれば、いつの間にか2時間も経過してしまう程、楽しい空間です。
そして気付けば、お店を出たときには手元に模型のセットが1編成……。
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地元を走る横浜線のE233系8両セットを見つけてしまい、辛抱ならずに衝動買いしてしまいました。
鉄道むすめコンテナとお土産代わりの小物以外で、鉄道模型を買うのは何年ぶりのことでしょうか。
久しく触っていなかっただけに、手に取るとその軽さや繊細さに驚くばかりですが、何となく手に馴染んでいた感覚は思い出すものがあります。
気が向いたら、線路も買って久しぶりに走らせたいところです。


斯様な次第で、思わぬ散在を果たしてしまったところですが、この後は新宿へ移動してもう一人の友人“番長”とも合流し飲み会の流れです。
そのまま番長邸でアニメやライブ映像を観ながら飲み直して一泊となりました。


明けて日曜日は、二日酔いに午前中をすり潰しながらも、実家へ一時帰宅。
諸々の荷解きを経てから、再び都内へ向かいます。
向かったのは、初めての恵比寿ガーデンプレイス。目的は中島愛のライブです。

「輪廻のラグランジェ」の頃から好きだった中島愛さんですが、なかなか日程が合わなかったり、チケットが取れなかったりして、ライブにはほとんど行ったことがありません。
しかして、今回のライブはデビュー10周年の記念ライブとのことだとか。
これはもう是が非でも参加したいと、ファンクラブに入会してFC先行でチケットを確保しての参加です。

そんな訳でかなり前から指折り数えて待っていた中島愛ライブ。セトリは割愛ですが、来てよかったと思える楽しいライブでした。
最新のアルバムから徐々に時代を遡るような選曲だったのですが、日々聴いているせいか、自分の中での曲の時代関係がかなり曖昧になっていたことに気付かされます。
デビュー当初の曲のはずの、ライブ終盤の曲を聴いてもあまり古い感じがせず、むしろこれが10年近く前かとショックを受ける状況。
それでも、聴き馴染んだ曲を改めて生で聴くと、やはりこの歌声が大好きなんだなとしみじみ感じ入ってしまいます。
語彙に欠ける思いですが、実に良いライブでした。


ライブ後はせっかくの恵比寿なので、エビスビールのお店で一杯呑んでから、無理のない時間で帰路へ。
来週からは3週連続で週末にイベントの予定。うっかり体調を崩さないよう、気をつけて過ごしましょう。

佐渡ヶ島巡航の話

梅雨を引きずるパッとしない日々が続く関東地方。
連日の雨に洗濯物も溜まるばかりで困ってしまいますね。
外出の気力も妨げられて、あまり遠出したい気分になってくれません。

なんて、口では言ってもカレンダーに3連休の並びを見つけてしまえば、体は正直です。
あっという間に外出の算段を立ててしまい、残り日数を指折り数えてしまいます。
見果てぬ旅先の光景には、幾つになっても胸踊らせながらその日が来るのを待ち構えたくなりますね。


そんな訳で、この海の日の連休があった週末は、大学時代の友人と連れ立って佐渡島へ行ってきました。
上越新幹線が長めのトンネルをくぐり抜けた先は新潟県。三国山脈の向こう側は、そこそこ天候恵まれていました!
日頃の行いに感謝しながら、久しぶりの何もない小旅行は順調な滑り出しです。

新潟駅までは各自で移動をこなしていた友人の元下宿生・元寮生と、新潟駅前の佐渡汽船ターミナル行きバス乗り場で合流です。
バスで佐渡汽船ターミナルヘ向かい、1235時発の両津港行カーフェリーに乗り込み、いざ海の向こうへ出発です。
2019_07@佐渡ヶ島004 2019_07@佐渡ヶ島055
佐渡島へ行くには、ジェットフォイルや羽田からの飛行機もあるのですが、今回カーフェリーを選んだのは単なる趣味です。
運賃が安いメリットもありますが、何よりも晴天の甲板で眺める水平線が最高に気持ち良いのが大事な理由です。
旅の始まりは、シチュエーションで気分を盛り上げないといけませんしね。
この後、レンタカーの都合があるためにビールで一杯ができなかったことだけが残念でしょう。

何をするでもなく、写真を撮ったり昼食を食べたりカモメと戯れたりしているうちに、船は2時間半かけて佐渡島最大の港、両津港へ到着です。
2019_07@佐渡ヶ島091 2019_07@佐渡ヶ島100
ここでこの日の夕飯など、少々の買い出しをこなしてから、手配してあったレンタカーを受領して、島の南西部を目指します。

島の中央を横断して、南西岸の主要港小木まで国道350号線を辿り、ここから国道を離れてさらに15分ほど。
なんだかんだと時間を掛けながら移動した末、17時過ぎに目指すべき宿のある町、宿根木に到着です。
2019_07@佐渡ヶ島108 2019_07@佐渡ヶ島116
宿根木は集落内に車を乗り入れられないため、町外れに観光用の無料駐車場が整備されています。
車を駐めて降りたら、今にも不思議に出会いそうな趣ある路地を抜けて、この日の宿「一客一亭の宿 伊三郎」を訪ねました。

この宿、ネットでもほとんど情報の出回らない小さく不思議な宿ですが、その実は古民家を一棟借りして過ごすことができる……知る人ぞ知る名宿です。
宿根木の観光サイトで見つけて、運試し気分で電話してみれば無事に予約できてしまったのですから、これはもう運命ですね。
あらゆる情報が不足していることに、全く不安を感じなかったと言えば嘘になるでしょうが……実際に行ってみれば思った以上に集落の真ん中に位置しています。
料金も一泊3名までは一律で素泊まり1万円、一人頭で考えれば3000円強ですから古民家合宿と考えればなかなかお得なチョイスです。(ちなみに4名以上は、1人毎に3500円追加とのこと)

予約時の指示に従い、到着したとオーナーに電話をすれば、すぐさまオーナーのおじいさんのご登場です。
宿に入れていただき、簡単な手続きや雑談をしながらしばらく過ごしたら、まだ明るいからと町の案内をしてくださることになりました。
2019_07@佐渡ヶ島148 2019_07@佐渡ヶ島150
さて、この宿根木の集落、かつて隣の小木港と並んで北前船の基地として繁栄した佐渡屈指の都市であったそうです。
その繁栄ぶりたるや、往時には尾道から石材と石工を呼び寄せて、石橋や石鳥居をこさえたり、足元を石畳にしてしまう程だったとか。
集落自体は入江の奥、海へ口を開いた広めの谷間にある地形をしています。
谷間のため、海に近いながらも真水の便もよく、そのために人々が集まったのだろうとは、宿のおじいさんの談です。
一方で谷の上側は水はけが良すぎるために農業には不向きな土地柄。漁業は可能ですが、それでも北前船隆盛の時代の繁栄を支えるには産業としての利幅が違いました。
そんな発展性の低い地形が仇となり、世相に取り残されたのが明治初期の頃のこと。ただ、それがために開発の波に巻き込まれることを免れ、往年の特徴的な街並みが今に残る貴重な文化財となっているそうです。
ここ10年ほどの間に知名度も上げてきて、観光地としての新たな一歩を踏み出しつつあるとの次第だそうです。

そんな町並みの特徴は、塩害対策と考えられる土蔵に被さった覆屋や、狭い土地をフル活用するための狭い路地、増改築を繰り返した2階建て以上の建物群です。
なかなか傍目には気付けない興味深い町並みの秘密を、解説付で巡ることができ非常に良い経験となりました。
加えて、本格的な黄昏時には海まで案内していただき、主だった入江内の航路や漁労事情、キレイな夕暮れの見えそうな場所まで教えていただきました。
2019_07@佐渡ヶ島192 2019_07@佐渡ヶ島213
夕日が沈むのを目の当たりにするには、少々方向が南よりでしたが……磯場のアクセントが映える見事な夕景が見れたのは、ひとえに宿の方の案内のお陰でありました。

そんなガイド付きの散歩も日が沈んでしまえば、流石にオシマイです。
宿泊の手続きを済ませたら、オーナーのおじいさんにお休みなさいを告げて、我々だけの時間が始まります。
囲炉裏のある3階建ての木造古民家、1階と2階部分を好きに使って良いとは、ワクワクが止まりませんね!
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まぁ、やることと言えば、囲炉裏のわきに食材を広げて、晩餐会を始めるだけなのですが……。
一応は宿根木の集落内にも夜間に空いている飲食店があるのですが、私の経験則が警告を告げていたので、先んじて道中のスーパーで食材を調達しておいた次第です。
何事もなければ二次会に供するつもりでしたが……この手の勘は当たるもので、運悪く集落唯一の飲み屋さんは満席でした。
そんなこんなで、囲炉裏の周囲に地酒や地物の鮮魚を広げながら、片手間にはボードゲーム。
宅飲み時代の気分に帰るような、雑なノリの飲み会をして夜を過ごすことになりました。

静かな町の情緒ある宿、雑なノリと言っても心なしか声量は上がらずに過ごした気がします。
ふらりと真っ暗な町や海を探りに言ったりもしましたが、追加のお酒を調達する術もないので、程よい酒量で宴をお開きにして眠りにつくことができました。


一夜明けて、地元の方が川の清掃をする物音で目が醒めた二日目、日曜日。
午前中は引き続き、宿根木の町を観光です。

町の裏手の高台に立つ資料館では、復元された往年の千石船の巨大さに驚いたりします。
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この小木の郷土資料館、千石船を目玉に据えているようですが、木造校舎の残滓や所狭しと並んだ船乗りに関連する祭具など、興味深いブツの目白押しです。
小さな資料館かと油断して入り込むと、予想外の多様な展示に大いに時間を消費してしまいますので、注意が必要でしょう。

資料館で思わず長居してしまった後は、再び集落に戻って公開古民家巡りです。
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船頭の家や船大工の家、近年まで人が住んでいた独特の三角形をした家など、土地柄と歴史が詰まった個性豊かな民家を見学する事ができます。
外側からでは一律の板張りにしか見えない家々も、中に入ればそれぞれの生活や趣向を反映した違いが垣間見れたります。
特に背後の大岩をくり抜いて、岩室に使っている家などは……その逞しさに驚かされてしまいました。


さて、一頻り町並みを眺めて、昼食まで取ったら流石に移動を開始です。
次いで向かったのは、佐渡国一宮に列する度津神社です。
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水害により記録を喪失以来、その創建の由緒は不詳とされているものの、五十猛命を祭神として佐渡国内では随一の規模を誇る神社です。
ただし社名も“わたつ”神社と読むそうで、“わた”と言えば海を指す古語。離島という立地もあることから、本来の祭神は何らかの海洋や航海にまつわる神であった説が有力なのだとか。
何はさておくも、境内地は少し内陸に入った森深い場所にあり、海というよりも山間の霊験を感じる神社ではありました。
無事に御朱印もいただくことができ、これでまた一つ、全国の一宮を巡ることができました。


神社にお参りしたら、いろんな願いが気になりますね。端的にはお金とか、いいですよね。
午後からは少し駆け足で、金山を巡ってみることにしました。
古い町並みにうつつを抜かしていましたが、佐渡と言えば、そうです佐渡金山。
江戸の初期から大々的な採掘が始まり、盛衰を繰り返しながらも昭和20年代まで命脈を保った国内屈指の大金銀山です。
その遺構とも言うべき鉱脈や採掘跡、関連設備は、島中のあちらこちらに点在しています。
なかでも、やはり見に行くべきは一番有名で大規模なところでしょう。
つまり、島の中西部の沿岸、相川地区に集中する相川金山へ向かいました。

もっとも、一つの地区と言えども金山の遺跡は掘り進める坑道から、鉱石を選別して精錬し、延べ棒や大判小判に加工する設備、さらには付帯する装置類の整備工場と様々な施設が車が欲しい距離で散在しています。
数ある選択肢の中から、まず向かったのは昭和期の大増産のために建造され、「日本のラピュタ的風景」の一つとしても度々紹介される北沢浮遊選鉱所でした。
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これは昭和初期に、戦時に向けての大生産を目指して建造された鉄筋コンクリート造の浮遊選鉱施設です。
浮遊選鉱とは、重量比で鉱石の選別を行う手法のこと。この施設でどのように選別していたかはわかりませんでしたが、一般的には重い鉱物ほど貴金属を含有している可能性が高いため、水で流してより早く沈んで澱んだものを選別する手法です。
段々になっている構造からも、上から鉱石を含む泥濘を流して、重い鉱石を選り分けたのだろうと想像できます。
見渡すほどの巨大さもさることながら、現役時代には全て屋根に覆われていたというのもまた、驚きの光景でありました。

北沢浮遊選鉱場に続いては、隣接する郷土資料館で鉱山町での生活を少しだけ見学です。
“命短し稼げよ鉱夫”とでも言い出さんばかりの時折辛辣な解説文と、鉱山都市に付き物な花街の生活紹介まであり、小さく地味な施設ながら非常に面白い場所でありました。

資料館を見たら、次も資料館――もとい復元された佐渡奉行所です。
浮遊選鉱の斜面を上がった一帯は、もともと相川地区の金山がある沢筋から海に出る玄関口に位置します。
海を見下ろす高台には、町に囲まれるように奉行所が立っており、鉱山都市の統治から金銀の精錬までもを担っていたそうです。
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立派で威厳のある門構えは流石、江戸幕府の奉行所と言った趣きです。
内部は照明こそ安全のために明るめですが……それでも、広々とした畳敷きの建物は、古民家とは違った魅力がありました。
2019_07@佐渡ヶ島391 2019_07@佐渡ヶ島395
また、併設された勝場跡地では江戸期の選鉱方法が半体験型で展示されていました。
基本的には採掘された鉱石を砕いて、石臼で粉砕し、水と一緒に水溜に流し込んで重い物を選り分ける仕組みです。
しかし、さらに上層に残った鉱石粉も、布を敷いた斜面にもう一度流すことで、もう幾度か重量を選別するのだそうです。
非常に手間と時間のかかる作業に、少しでも効率よく金を得ようとする努力と工夫と執念を感じるような気分でありました。


さて、奉行所見物が終わったあたりで時刻は概ね17時少し前。充実度としても、次の宿への時間としても、ちょうどよいくらいの進捗です。
佐渡金山の坑道も近くにあるのですが、時間的にも内容的にもスルーするつもりでいました。
ところが……ここで一つだけ計算外が発生してしまいました。
佐渡鉱山の前を通りがかったところ、なんと営業時間は17時半までなのだそうです! すなわち、ギリギリ滑り込めてしまいます!
こういう選択肢って判断を鈍らせますね。行かないで後悔より、行って反省です。

窓口に駆け込んで、チケットを買い、いざ江戸期に実際に掘られていたという坑道を見学です。
2019_07@佐渡ヶ島403 2019_07@佐渡ヶ島405
時間制限は30分ですが、微妙に動く蝋人形による展示は実時間以上の情報量とインパクトがありました。
特にスクリュー式のポンプなど、実働しているところは初めて見ます。
理屈では知っていても、どれほど揚水できるのかと半信半疑に思っていたものですが、想像以上の水量に「百聞は一見に如かず」との言葉を思い出させられました。

また、坑道を開く際の独特な神事の様など、土肥金山ともまた違った文化習俗が見られるのもお国柄というやつでしょう。
滑り込みと言えど、来た甲斐があったと言える施設でした。
2019_07@佐渡ヶ島413 2019_07@佐渡ヶ島422
坑道のあとは、歩いて数百メートルの位置にある大立立坑の坑道エレベーターも見学です。
これは外部からも無料で見られる施設。明治期から廃坑まで使用された日本で最初の西洋式坑道エレベーターだそうです。
その鉄骨造の無骨な姿を、森の一角に屹立させる様が、なんともロマンですよね。
良いものを見れたと満足して、金山巡りの締めといたしました。


金山の後はそのまま山越えへ。18時少し前の出発で、19時過ぎの日没を背負って大佐渡スカイラインを駆け抜ける算段です。
このスカイライン、道中は信じがたい急坂に急カーブが連続しますが、一度稜線まで上がるとスカイラインの名に恥じぬ眺望が待っております。
特に途中の駐車場には、両津港と平野部一帯を一望できる大パノラマの展望台があります。
2019_07@佐渡ヶ島441 2019_07@佐渡ヶ島447
あるいは、さらに少し走った先で見た妙見山の山頂に立つレーダーサイトのSF映画のような異物感も魅力的です。
振り返れば西の海に沈む夕日に淡く照らし出される雲海なんてシチュエーションもあります。
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2つ目の白雲台の展望台で、両津港の町並みを先程より大きめに見下ろしてやれば、主だった眺望点は終わりです。
上り下りの過酷な1時間ほどの道のりですが、稜線上の千変万化の眺望は山登りの楽しみにも通じるものがあります。気持ち良いドライブだったと間違いなく言える天気と道のりでした。

スカイラインから下ってきたら、この日は両津港から加茂湖沿いに車で少し行った温泉宿に宿泊しました。
到着した頃には19時を過ぎていたので、荷物整理もそこそこに夕飯を食べに町まで移動です。
歩いて30分ほどの両津港の加茂湖側辺りが繁華街ということで、それを頼りに夕暮れの町を跋扈し、適当に見つけた飲み屋さんでしばらく反省会となりました。

ところで、余談になりますがこの両津港の町。地図で見れば一目瞭然なのですが北東側を日本海、南東側を加茂湖に挟まれた非常に細長い街になっています。
海と湖を隔てる200m程の砂州の上に、家々がひしめく様子もあまり馴染みがないだけに、不慣れなところに来た感じが大増量です。
ふとした気付きに旅情が満たされるようで、こういう些細なところにも旅の楽しさが詰まっているように感じました。

閑話休題して、別の閑話。
飲み屋を後にした後は、当然のごとくコンビニで追加の酒を調達して、宿で二次会です。
地酒を煽りながら、なぜか劇場版ゆるゆりを見ているうちに夜が更けて……大分日が高くなってから、次の日の朝がやってきました。


そんな訳で、若干ですがお酒が残っている気がする海の日の月曜日。
窓を開ければ、最終日であることが恨めしいほどの大快晴です。なんか、以前もこんなパターンありましたよね……?

この日は最終日。昼過ぎには車を返さなければ行けないので、遠出は控えて加茂湖周辺で楽しむ算段です。
ひとまず向かったのは、佐渡でも有数の歴史と格式を誇る牛尾神社に参拝です。
2019_07@佐渡ヶ島501 2019_07@佐渡ヶ島507
境内は無人であったものの、鬱蒼とした社叢や参道の赤白の鳥居、透かし彫りがふんだんに使われた見事な拝殿が格式の高さを無言のうちにも伝えてくるような雰囲気がありました。
また、下の宮司宅に行けば御朱印も頂けると案内されていましたので、ありがたく頂戴することにします。
このときお邪魔した宮司宅の玄関も、古民家と行った体の趣きある雰囲気であったことは、特筆に値することだと感じました。

神社のあとは、ここからほど近いトキの森公園でトキの見物でもしようとの流れです。
2019_07@佐渡ヶ島520 2019_07@佐渡ヶ島524
ところが幹線道路を外れて車を転がしてみれば、トキの前に「在りし日の夏」とでも言うべき光景に出くわしてしまいました。
青い空、遠くの山並みを覆う綿雲、青々とした田んぼと何もない一直線の道です。
“帰省したおばあちゃん家で出会った近所の白ワンピースと麦わら帽子の少女と一夏を過ごした”ような――極一部のキマった層の間で流布する、共同幻想そのままの光景です。
存在しない、麦茶の氷が動く音と、野球の放送を流し聞くお昼の素麺の世界です。

「イマジナリー夏休みに精神を取り込まれて死ぬ!」などと適当なことを喜々として口走りながらも、何だかんだで絵になる光景なのは間違いなしです。
この風景に出会えただけでも、佐渡島に来た意義があったと言えるかもしれません。
今年の夏を無事に迎えることができた気分でありました。

どうにか夏の誘惑を振り切って訪れたトキの森公園では、日本のトキの絶滅までの経緯や復活への道のりが展示されています。
2019_07@佐渡ヶ島532 2019_07@佐渡ヶ島539
またクロトキなどの類縁種を含めたトキ類の飼育にも取り組み、その様子を比較的近い距離から眺めることができました。

そんなこんなでトキを見てノルマをこなしたら、加茂湖をぐるりと一周するように仕上げのドライブです。
2019_07@佐渡ヶ島550 2019_07@佐渡ヶ島561
どう考えても、幻想の夏を追いかけて細い道に迷い込んでるだけなのですが……こういう行程にない脱線旅こそ、気ままな旅行の醍醐味だと思う次第です。

その後は無事に車を返却して、港周辺で最後の時間つぶし。
お土産を物色したり、港から見える風景を名残惜しげに撮影したりして過ごしました。
2019_07@佐渡ヶ島573 2019_07@佐渡ヶ島576
ちなみに帰路はジェットフォイルで、時間を節約して帰還です。
バス席のような椅子にシートベルトを掛けて、1時間ちょっとの航海で呆気なく新潟港へと帰ってきてしまいました。


16時前には新潟市街へと到着。
流石に手ぶらで帰るには早い時間ですので、市街地をぶらりと巡ったり、川辺で少々お酒を飲んだりしながら過ごして、駅へ。
駅前で再び飲んでから、新幹線に揺られて各々の住処へと帰っていきました。

私も日付が変わる頃には自宅へ。
翌朝、原付きのエンジンが壊れて大変な目に遭うとは露とも知らずに、早々に寝てしまいました。


そんなこんなで今週も4日勤務なことだけが救いな平日の真っ最中です。
むしろ、積もり上がった仕事の山に、本当に救いだったのか、正当な休日行使ができるのかと、不安になるので困りものです。

加えて、原付き故障によるバス通勤も、時間が固定されてしまい夜型の身としてはじわじわとつらいものがあります。
早々の復旧を祈りながら……何とか来週を迎えなければなりません。

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